ホームIMICライブラリMMWR抄訳2023年(Vol.72)成人男性のmpox症例およびワクチン接種における人・・・
2023/04/14Vol. 72 / No. 15
MMWR72(15):398-403
Racial and Ethnic Disparities in Mpox Cases and Vaccination Among Adult Males — United States, May–December 2022
2022年12月31日時点でアメリカではサル痘(mpox)症例が計29,939例報告され、そのうち93.3%は成人男性であった。2022年5月10日~12月31日、アメリカでは723,112名がmpoxワクチン(JYNNEOS)2回接種シリーズの1回目接種を受けており、そのうち89.7%が男性であった。現在のアウトブレイクはゲイ、バイセクシュアル、男性同性間性的接触者(MSM)、人種/民族マイノリティ集団に偏って影響している。今回、18歳以上の男性におけるmpoxの罹患率およびワクチン接種率における人種/民族格差を調査した。2022年5月10日~12月31日、18歳以上の男性にてmpox症例は計27,946例報告され、非ヒスパニック系黒人/アフリカ系アメリカ人(黒人)は8,577例(30.7%)、ヒスパニック系/ラテン系(ヒスパニック系)は8,248例(29.5%)、非ヒスパニック系白人(白人)は7,793例(27.9%)であった。Mpox罹患率(MSM10万人あたりの症例数)のピークは白人が7月(89.8)であったのを除き、全体的に8月であり、全期間の罹患率は白人(252.7)と非ヒスパニック系アジア人(アジア人)にて同等(258.5)であった以外は、白人に比べ高い罹患率を示した[黒人1,467.8、非ヒスパニック系その他人種/民族(その他人種/民族)968.6、ヒスパニック系907.9、非ヒスパニック系ネイティブハワイアン/その他太平洋諸島民(NH/OPI)728.6、非ヒスパニック系アメリカ先住民/アラスカ先住民(AI/AN)]。全期間における白人に対するmpox罹患率比は黒人が5.8、ヒスパニック系3.6であった。JYNNEOSワクチン初回接種は計648,336名に実施され、白人は331,020名(51.1%)、ヒスパニック系は133,759名(20.6%)、黒人は75,496名(11.6%)であった。MSM10万人あたりのJYNNEOSワクチン初回接種回数は白人(10,735.4)に比べAI/AN(7,486.6)にて低かった以外はいずれも白人より高く、その他人種/民族が一番高く(47,188.7)、接種率のピークはいずれも8月(AI/AN:3,283.3、アジア人:7,985.0、黒人:7,313.1、NH/OPI:9,403.1、白人:5,433.1、ヒスパニック系:7,651.2、その他人種/民族:25,432.9)であり、白人に対する接種率比は5~6月は黒人(0.4)、ヒスパニック(0.7)ともに低く、8月にはそれぞれ白人を上回った(各1.3、1.4)。ワクチン接種対症例比は全体で23.8であり、アジア人(59.2)、多民族/その他(48.7)、白人(42.5)にて高く、ヒスパニック(16.2)、黒人(8.8)にて低かった。将来のmpoxアウトブレイクの格差を予防するためには人種/民族マイノリティにも届くよう個別に対応したメッセージやワクチン接種サービスの拡大など持続的で公平な戦略が必要である。
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