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MMWR抄訳

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2023/01/20Vol. 72 / No. 3

MMWR72(3):68-72
Epidemiology of Human Mpox — Worldwide, 2018–2021

ヒトでのmpoxの疫学 ― 全世界、2018年~2021年

サル痘(mpox)はオルソポックスウイルス属の一種であるサル痘ウイルス(MPXV)による人畜共通感染症であり、野生の哺乳類の宿主は不明である。MPXVには2つの遺伝的系統群(クレードⅠおよびクレードⅡ)があり、ヒトの症例は歴史的に、1)中央および西アフリカの一部国の農村部、森林地帯、2)感染者の集団移動または旅行に関連する症例が報告される国、3)輸入された感染動物からの曝露にて報告されている。今回、国のサーベイランスプログラム、WHOの公示、症例報告のデータを使用し、1970年からと2018年~2021年におけるmpoxの疫学、流行国における現在の診断および治療の課題について述べる。2018年~2021年、ヒトの症例はアフリカでは6カ国にて確認された[カメルーン、中央アフリカ共和国(CAR)、コンゴ民主共和国(DRC)、ナイジェリア、コンゴ共和国(ROC)、シエラレオネ]。DRCでは年間3,000例を超す疑い例が報告され、ピークは2020年であった(症例6,216例、死亡222例)。CARでは2018年以降、年平均9件のアウトブレイクが発生し、1989年より症例の報告がなかったカメルーンでは2018年以降に9例が確認され、ROCとシエラレオネにて各2例ずつ報告されている。ナイジェリアでは39年間報告がなかったが、2017年8月よりクレードⅡの症例が発生し、2018年5月までに17州にて122例(確診例および高度疑い例)、死亡7例を認めた。2020年はCOVID-19パンデミックによりナイジェリアでの報告数は激減したが(8例)、2021年に症例報告は増加した。ナイジェリアは、MPXVとHIVの重複感染例が多く、病変が性器に最初に出現し、前駆症状の発熱がないなどの非典型的な症状が認められている。2018年~2021年、ナイジェリアからの旅行者8名がアフリカ以外の国でmpoxを発症し(旅行関連症例)、全員が30~50歳の男性であり、3名は発疹が最初に鼠径部に出現した。1件は医療従事者への二次感染、1件は家族2人への感染であった。2021年、WHOは世界中の127の研究所におけるオルソポックスウイルス検査能力を調査したところ、78施設(61%)がオルソポックスウイルスの診断(50カ所)、研究(52カ所)、ワクチン開発(15カ所)、ワクチン製造(4カ所)を目的としてオルソポックスウイルスを扱っており、MPXVを扱っている研究所は38カ所(30%)であった。オルソポックスウイルスを扱う研究所はヨーロッパ(30カ所)、アメリカ(21カ所)、アフリカ(11カ所)、東地中海地域(2カ所)、南東アジア地域(3カ所)、西太平洋地域(11カ所)にある。

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