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MMWR抄訳

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2022/05/20Vol. 71 / No. 20

MMWR71(20):673-679
Factors Associated with Use of HIV Prevention and Health Care Among Transgender Women — Seven Urban Areas, 2019–2020

トランスジェンダー女性におけるHIV予防および医療の利用に関連する因子 ― 7都市圏、2019年~2020年

トランスジェンダー女性は不均衡にHIVの影響を受ける。2019年~2020年のCDCのNational HIV Behavioral Surveillance(NHBS)に参加したトランスジェンダー女性1,608名のうち、42%がHIV検査陽性であった。NHBSはHIV感染リスクの高い人を対象に生物行動学的サーベイランスであり、2003年に開始された。今回、2019年6月~2020年2月、アメリカ7都市圏(アトランタ、ロサンゼルス、ニューオーリンズ、ニューヨーク、フィラデルフィア、サンフランシスコ、シアトル)にてトランスジェンダー女性1,608名を対象に行われたNHBS質問調査の結果を報告する。質問には性自認、収入、健康保険、住居、食糧不足、HIVの有無、ウイルス抑制(HIV陽性の場合)、性に関連する健康問題を話し合う医療従事者に対する満足度、医療に関する満たされていないニーズ、かかり付け医を含めた。その結果、38%が過去に受けたHIV検査の結果が陽性であった。また、低収入(年間世帯収入9,999ドル以下:44%)、過去12カ月間におけるホームレス経験(39%)および深刻な食糧不足経験(40%)が多く、HIV予防および治療サービスの受療の低下と関連していた。参加者の約1/3がロサンゼルスの回答者であり(504名、31%)、都市別のホームレス経験率は22%~59%、深刻な食糧不足経験率は28%~47%、医療従事者に対する満足度は66%~91%であった。社会経済状況および医療の利用のしやすさは健康アウトカムと関連しており、過去HIV検査が陽性であった人の自己報告によるウイルス抑制者は、過去12カ月以内のホームレス経験者にて有意に少なく、ホームレスであった日数が増加するにつれて少なくなった。深刻な食糧不足者および医療に関する満たされないニーズがある人でも有意にウイルス抑制者は少なく、医療提供者に満足している人では多かった。過去12カ月間にHIV検査で陽性の結果を受けていない人は、かかりつけ医があり、医療従事者に満足している傾向が多かった。曝露前予防(PrEP)の利用は、健康保険加入者、かかりつけ医のいる人、医療提供者に満足している人にて有意に多く、医療に関する満たされていないニーズがある人にて少ない傾向であった。また、深刻な食糧不足を経験していない人に比べ、経験した人でPrEP利用が多かった。以上、トランスジェンダーに肯定的な医療アプローチの利用を確保し、多くのトランスジェンダー女性の社会経済的問題に対処することにより、HIV予防および治療へのアクセスと利用を改善する可能性がある。

References

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