ポリオ根絶に向けた進捗状況を追跡するためのサーベイランス ― 全世界、2020年～2021年

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MMWR抄訳

2022/04/15Vol. 71 / No. 15

MMWR71(15):538－544
Surveillance to Track Progress Toward Polio Eradication — Worldwide, 2020–2021

ポリオ根絶に向けた進捗状況を追跡するためのサーベイランス ― 全世界、2020年～2021年

1988年にGlobal Polio Eradication Initiative(GPEI)が設立されて以降、世界中で報告されているポリオ症例数は約99.99％減少している。2021年末には、野生型ポリオウイルス(WPV)がまだ流行しているのは2カ国のみである(パキスタンとアフガニスタン)。一方、WHOのアフリカ地域(AFR)がWPVフリーとして認定されてから1年後の2021年にマラウイにて麻痺を発症したWPV1型症例が報告され、伝播型ワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV)症例は、2020年～2021年に31カ国から報告された。cVDPVは経口ポリオウイルスワクチン由来のウイルスであり、免疫力の低い集団での長期間の流行後に出現し、麻痺の原因となる可能性がある。ポリオウイルス伝染は、主に、急性弛緩性麻痺(AFP)サーベイランスと環境サーベイランスを通じて検出される。COVID-19パンデミックにより、2020年には各WHO地域でポリオワクチン接種とサーベイランス活動に混乱が生じた。2020年1月～9月、AFP症例報告数は減少し、便の採取から検査室での受け取りまでの間隔は2019年の同時期と比較して延長した。今回の報告では、優先国43カ国における2020年～2021年のサーベイランスパフォーマンス指標をまとめ、前回の報告を更新する。AFPサーベイランスの質を評価するために、2つの主要パフォーマンス指標を使用した[1)15歳未満の10万人あたり≧2例の非ポリオAFP率(伝播型ポリオウイルスを検出するのに十分な感度があると考えられる)、2)AFP患者からの適切な便検体の80％以上が適切に採取(サーベイランスでAFP患者のポリオウイルスを効果的に特定できる指標)]。2021年には、合計で32(74％)の優先国が2つの主要なサーベイランスパフォーマンス指標の目標値を達成し、2020年(23カ国、53％)から改善したが、実質的な国および地方のギャップは存続している。ポリオウイルス環境サーベイランスでは、ポリオウイルスの伝播を特定するために下水検体を体系的に収集および検査している。麻痺を生じるのはポリオウイルス感染の1％未満であるため、環境サーベイランスでは、麻痺性ポリオ症例が確認されていない場合でも、ポリオウイルスの伝播を検出できる。2020年～2021年にcVDPV2型は、アフガニスタン、リベリア、セネガルではAFP確診症例が特定される前に環境サーベイランスによって検出され、ジブチ、エジプト、ガンビア、イラン、モーリタニア、ウガンダでは環境サーベイランスによってのみ検出された。ポリオウイルスの伝染を追跡するには、高性能のサーベイランスが不可欠である。ポリオ根絶達成を成功させるために、サーベイランス指標を頻繁にモニタリングすることは、ギャップを特定し、改善を導き、ポリオウイルス検出の全体的な感度およびタイムラインを強化するのに役立つかもしれない。

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