ホームIMICライブラリMMWR抄訳2022年(Vol.71)ポリオ根絶に向けた進展 ― アフガニスタン、202・・・
2022/01/21Vol. 71 / No. 3
MMWR71(3):85-89
Progress Toward Poliomyelitis Eradication — Afghanistan, January 2020–November 2021
野生株ポリオウイルス2型および3型は、それぞれ2015年と2019年に根絶が宣言され、2017年以降は、野生株ポリオウイルス1型(WPV1)の感染がアフガニスタンとパキスタンでのみ検出されている。これらの国では2014年以降で最も多いWPV1症例数を2020年に報告し、伝播型ワクチン由来ポリオウイルス2型(cVDPV2)のアウトブレイクを経験した。アフガニスタンでは、報告されたWPV1症例数は、2019年の29例から2020年には56例と93%増加し、308例のcVDPV2症例が報告された。今回の報告では、2020年1月~2021年11月のアフガニスタンにおけるポリオ根絶に向けた活動と進捗の状況について記述する。2018年以降の反政府分子により強いられた制限、COVID-19パンデミックによるポリオ根絶活動の中断、市民および政治的な不安定にもかかわらず、根絶活動は再開されている。全国的に、2020年から2021年にかけて、非ポリオ急性弛緩性麻痺[NPAFP:ポリオウイルス感染のエビデンスがない麻痺で、2価経口ポリオウイルスワクチン3回接種(OPV3)の代理指標]の乳幼児(生後6~59カ月)の27%は、定期予防接種サービスを通じてOPV3を接種していた。定期接種または追加予防接種活動(SIA)を通じて経口ポリオウイルスワクチン(OPV)を一度も接種したことないNPAFP乳幼児の割合は、2019年の1%から2020年には4%、2021年には6%に増加し、2021年では南部のザーブル州(32%)、ニームルーズ州(13%)、ヘルマンド州(21%)、西部のバードギース州(19%)で暫定的な割合が最も高かった。一方、2019年から2021年にかけて、東部の大半の州ではこの割合は0%または0%近くにとどまり、南東部のパクティア州では10%から0%、ホースト州では4.9%から2.4%にそれぞれ減少した。環境サーベイランスでは2021年1月~11月の1件のWPV1陽性検体が検出され、2020年の同時期に検出された34件と比較して97%減少した。2021年1月~11月に、WPV1症例は4例、cVDPV2症例は43例が検出され、2020年の同時期(各56例、281例)から、それぞれから93%、85%減少した。2020年1月~2021年11月に報告されたWPV1症例60例のうち、21例(35%)は一度もOPVを接種したことがなく、14例(23%)は1回または2回の接種を受け、24例(40%)は3回以上の接種を受けた。23例(38%)は、定期接種ではOPVを接種したことはなかったが、SIAにて1回以上のOPVを接種していた。2020年1月~2021年11月の期間に、cVDPV2症例はパキスタンからの輸入と、アフガニスタンでの一価OPV2使用後の新たな出現により、28州の131地区から351例が報告され、225例(64%)は生後36カ月未満の幼児に発生した。2021年8月に現在のアフガニスタン政府が全国的な統制を掌握後、保健当局は全国でOPVキャンペーンに取り組み、約250万人の乳幼児にワクチンを接種する可能性がある。課題は残っているが、アフガニスタンでの精力的で持続的なポリオ根絶の取り組みは、2022年から2023年の根絶に向けて具体的な進展をもたらす可能性がある。
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