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MMWR抄訳

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2021/10/22Vol. 70 / No. 42

MMWR70(42):1472-1477
Mycobacterium porcinum Skin and Soft Tissue Infections After Vaccinations — Indiana, Kentucky, and Ohio, September 2018–February 2019

ワクチン接種後のMycobacterium porcinumの皮膚および軟部組織感染症 ― インディアナ州、ケンタッキー州、オハイオ州、2018年9月~2019年2月

2018年12月~2019年2月における複数の州の調査により、2018年9月11日~11月28日に職場でインフルエンザ、A型肝炎、肺炎球菌、破傷風トキソイド・弱毒化ジフテリアトキソイド・無細胞性百日咳ワクチンを接種したケンタッキー州、インディアナ州、オハイオ州の推定940名のうち、101名にワクチン接種関連有害事象が確認された。これらのワクチンは、24の企業が契約した第三者のヘルスケア会社のスタッフによって接種されていた。2018年12月4日、地域の保健局はケンタッキー州公衆衛生局(KDPH)に、A社が接種した職場でのワクチン接種後、注射部位に皮膚膿瘍を発生した3人の患者について通知した。地域の保健局はこれらの事象についてA社に連絡し、A社が2018年11月初旬に他の患者から同様の報告を受けていたが、Vaccine Adverse Event Reporting System(VAERS)または地域の公衆衛生当局にこれらの事象を報告していなかったことを究明した。地域の保健局はA社に、すべてのワクチン接種を直ちに中止し、VAERSに報告書を提出するように指示し、残りのすべてのワクチンと消耗品を押収した。また、KDPHはインディアナ州保健局とオハイオ州保健局に通知し、調査が開始された。ワクチン接種関連有害事象の症例定義を満たした101名では、中央値で注射後14日(0~126日)に症状が発現し、多く報告された症状は、注射部位の結節(97名、96.0%)、発赤(91名、90.1%)、疼痛(85名、84.2%)であった。77人(76.2%)が症状のため受診し、35名(34.6%)が切開/排膿の処置をされた。患者の注射部位創傷の分離株からは非結核性抗酸菌であるMycobacterium porcinumが検出され、28の分離株のパルスフィールドゲル電気泳動を使用したサブタイピングにより、2つの密接に関連したクラスターが特定された。A社の現地査察中に収集された検体で、インフルエンザワクチンの吸引前のシリンジからNeisseria mucosaPantoea属が検出され、A型肝炎ワクチンの吸引前のシリンジからStreptococcus mitisRothia mucilaginosaStaphylococcus hominisが検出された。また、A社スタッフへの聞き取り調査により、不適切な手指衛生、間違ったワクチンの保管および取り扱い、適切な医療記録文書の欠如、VAERSへの報告の欠落が確認された。ワクチン接種関連有害事象は、ワクチンの取り扱いまたは接種を担当する医療従事者へのワクチンの取り扱い、接種、保管の実施に関するトレーニング、ワクチン接種関連有害事象が疑われる場合はどんな時でもタイムリーなVAERSへの報告、公衆衛生当局への有害事象クラスターの通知により、防止することができる。

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