2021年7月3～17日、マサチューセッツ州バーンスタブル郡のある町で複数のサマーイベントや大規模集会が開催され、アメリカ中から何千人もの観光客を誘致した。7月10日に、Massachusetts Department of Public Healthへ報告されるバーンスタブル郡の居住者または最近、同郡を訪れた人におけるCOVID-19症例が増加し始めた。バーンスタブル郡のその町の居住者における14日間平均のCOVID-19罹患率は7月3日では10万人あたり0例/日であったが、17日までに177例/日となった。7月26日までにマサチューセッツ州の住民にて計469例のCOVID-19症例が確認され、陽性検体の採取日は7月6日～25日、ほとんどの症例が男性(85％)で年齢中央値は40歳(1歳未満～76歳)、半数近く(199例、42％)がバーンスタブル郡のその町に住んでいた。COVID-19に一致する症状は346例(74％)に認め、5例が入院し、7月27日の時点で死亡例は報告されていない。入院例のうち1例はワクチンを接種しておらず、複数の基礎疾患があった。他の4例はワクチン接種を完了しており(Pfizer社-BioNTech社製ワクチンまたはModerna社製のmRNAワクチン2回目接種シリーズ完了、あるいはJanssen社(Johnson & Johnson社)製ワクチンの単回接種済み)、2例に基礎疾患があった。ゲノム配列は133例の検体にて確認し、うち119例(89％)はCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2のデルタ株、1例はデルタ株AY.3亜種であった。マサチューセッツ州の住民の469症例のうち346例(男性301例、年齢中央値42歳)はワクチンを完全接種であり、接種していたワクチンはPfizer社-BioNTech社製が159例(46％)、Moderna社製が131例(38％)、Janssen社製が56例(16％)であったのに対し、マサチューセッツ州にて完全接種した一般住民での割合は、Pfizer社-BioNTech社製が56％、Moderna社製が38％、Janssen社製が7％であった。また、274例(79％)に徴候や症状があり、咳、頭痛、喉の痛み、筋肉痛、発熱が多く、接種完了(最終接種から14日後)から発症までの期間中央値は86日(6～178日)であった。リアルタイムRT-PCR検査のCt値は完全接種者127例にて中央値22.77であり、非接種/非完全接種/接種状態不明の84例における中央値21.54と同等であった。SARS-CoV-2デルタ株は感染力が高く、重症化および死亡を予防するためにはワクチンの接種が最も重要な戦略である。7月27日、CDCは完全接種者を含むすべての人に対し、COVID-19が流行している地域における室内での集会ではマスクを着用すべきであると勧告した。