ホームIMICライブラリMMWR抄訳2021年(Vol.70)B型肝炎の抑制に向けた進展 ― WHOヨーロッパ地・・・
2021/07/30Vol. 70 / No. 30
MMWR70(30):1029-1035
Progress Toward Hepatitis B Control — World Health Organization European Region, 2016–2019
2019年のWHOヨーロッパ地域(EUR)では、推定1400万人がB型肝炎ウイルス(HBV)に慢性的に感染しており、このうち約43,000人が慢性HBV感染の合併症により死亡した。2016年に、WHOのEUR事務局は2020年に向けてB型肝炎抑制プログラムの目標を設定した。目標には、1)B型肝炎ワクチン(HepB)の3回接種(HepB3)率90%以上、2)HBVの母子感染(MTCT)の予防介入による接種率90%以上、3)HepBの接種対象年齢層におけるHBV表面抗原(HBsAg)の保有率0.5%以下、が含まれていた。今回、2016年~2019年のEURにおけるB型肝炎抑制に向けて行われた進捗状況について記述する。周産期および小児期のB型肝炎感染を予防するための主な介入として、WHOはすべての乳児に対してタイムリーな出生時接種(HepB-BD)を含め、HepBの3回以上の接種を推奨している。EURのほとんどの国では15年よりも前にHepBワクチン接種を導入しており、各国はWHO/UNICEF Joint Reporting Formを使用して、ワクチン接種スケジュールと接種率に関する情報をWHOとUNICEFに毎年報告している。2019年には、EURの53カ国中48カ国(91%)がすべての小児を対象にHepBワクチンの定期接種を提供し、2カ国(4%)が5~12歳のすべての小児を対象にHepBワクチンの定期接種を提供し(ハンガリー、スロベニア)、3カ国(6%)ではHBsAg検査結果が陽性の母親から生まれた子供にのみ、選択的にHepBワクチン接種を実施していた(デンマーク、フィンランド、アイスランド)。23カ国(43%)がすべての新生児を対象にHepB-BDを提供し、30カ国(57%)ではHBsAg検査結果が陽性の母親から生まれた新生児を対象とし、選択的にHepB-BDを提供していた。2017年か2019年にかけて、すべての小児を対象にHepBワクチンの定期接種を提供した48カ国のうち35カ国(73%)ではHepB3接種率90%以上を達成し、すべての新生児を対象にHepB-BDを提供した23カ国のうち19か国(83%)では、毎年タイムリーなBD-HepB接種率90%以上を達成した。HBsAg検査結果が陽性の母親から生まれた新生児を対象とし、選択的にHepB-BDを提供した30カ国のうち17カ国(57%)では、出産前B型肝炎スクリーニング検査の実施率は90%以上であった。2020年1月には、イタリアとオランダがEURで最初に地域におけるB型肝炎抑制の目標を達成したことが認証された。各国は、HepB接種率やMTCT予防の介入を改善し、代表的な血清調査または低流行国では出産前スクリーニング検査を通じてHBsAg血清保有率の目標の達成を立証することにより、B型肝炎抑制に向けた進展を促進することが可能である。2019年のWHOヨーロッパ地域(EUR)では、推定1400万人がB型肝炎ウイルス(HBV)に慢性的に感染しており、このうち約43,000人が慢性HBV感染の合併症により死亡した。2016年に、WHOのEUR事務局は2020年に向けてB型肝炎抑制プログラムの目標を設定した。目標には、1)B型肝炎ワクチン(HepB)の3回接種(HepB3)率90%以上、2)HBVの母子感染(MTCT)の予防介入による接種率90%以上、3)HepBの接種対象年齢層におけるHBV表面抗原(HBsAg)の保有率0.5%以下、が含まれていた。今回、2016年~2019年のEURにおけるB型肝炎抑制に向けて行われた進捗状況について記述する。周産期および小児期のB型肝炎感染を予防するための主な介入として、WHOはすべての乳児に対してタイムリーな出生時接種(HepB-BD)を含め、HepBの3回以上の接種を推奨している。EURのほとんどの国では15年よりも前にHepBワクチン接種を導入しており、各国はWHO/UNICEF Joint Reporting Formを使用して、ワクチン接種スケジュールと接種率に関する情報をWHOとUNICEFに毎年報告している。2019年には、EURの53カ国中48カ国(91%)がすべての小児を対象にHepBワクチンの定期接種を提供し、2カ国(4%)が5~12歳のすべての小児を対象にHepBワクチンの定期接種を提供し(ハンガリー、スロベニア)、3カ国(6%)ではHBsAg検査結果が陽性の母親から生まれた子供にのみ、選択的にHepBワクチン接種を実施していた(デンマーク、フィンランド、アイスランド)。23カ国(43%)がすべての新生児を対象にHepB-BDを提供し、30カ国(57%)ではHBsAg検査結果が陽性の母親から生まれた新生児を対象とし、選択的にHepB-BDを提供していた。2017年か2019年にかけて、すべての小児を対象にHepBワクチンの定期接種を提供した48カ国のうち35カ国(73%)ではHepB3接種率90%以上を達成し、すべての新生児を対象にHepB-BDを提供した23カ国のうち19か国(83%)では、毎年タイムリーなBD-HepB接種率90%以上を達成した。HBsAg検査結果が陽性の母親から生まれた新生児を対象とし、選択的にHepB-BDを提供した30カ国のうち17カ国(57%)では、出産前B型肝炎スクリーニング検査の実施率は90%以上であった。2020年1月には、イタリアとオランダがEURで最初に地域におけるB型肝炎抑制の目標を達成したことが認証された。各国は、HepB接種率やMTCT予防の介入を改善し、代表的な血清調査または低流行国では出産前スクリーニング検査を通じてHBsAg血清保有率の目標の達成を立証することにより、B型肝炎抑制に向けた進展を促進することが可能である。
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