ホームIMICライブラリMMWR抄訳2021年(Vol.70)北西部の熱波時における熱関連の救急科受診 ― アメ・・・
2021/07/23Vol. 70 / No. 29
MMWR70(29):1020-1021
Heat-Related Emergency Department Visits During the Northwestern Heat Wave — United States, June 2021
アメリカでは記録的な高温が頻繁に発生し、気候変動による熱波が激しくなり、毎年平均約700名が熱関連で死亡している。2021年6月25日~30日、アメリカ国立気象局はオレゴン州、ワシントン州のほとんどにおいえて過剰な暑さに関する警報を発表し、少なくとも7月14日まで、オレゴン州、ワシントン州、アイダホ州の一部では気温の高い状態が続いた。この記録的な暑さはオレゴン州とワシントン州、特にポートランド都市圏に最も大きな影響を与え、6月の平均日中最高気温より23.3℃高い、46.7℃に達した。今回、National Syndromic Surveillance Programのデータが分析され、アメリカ保健福祉省(HHS)第10地区(アラスカ州、アイダホ州、オレゴン州、ワシントン州)の2019年および2021年の5月1日~6月30日における熱関連による救急科(ED)受診件数について分析された。2021年5月1日~6月30日におけるHHS第10地区の熱関連疾患によるED受診数は計3,504件、1日あたり中央値7件(0~1,090件)であり、約79%(2,779件)がオレゴン州とワシントン州に熱波警報が発表されていた6月25~30日の6日間に発生し、ピークは6月28日の1,090件であった。それに対し、2019年の同日における熱関連疾患によるED受診は9件であった。6月の受診者は男性(10万件あたり862件)および75歳以上の高齢者(10万件あたり1,094件)が多く、また、HHS第10地区の人口は全米の約4%であるが、6月の全国の熱関連疾患によるED受診者の約15%を占めていた。2021年6月のHHS第10地区における1日平均受診件数は102件、2019年6月の14件の7倍以上であり、2021年6月25~30日は424件で、2019年同時期における6件の69倍以上であった。北西部における2021年の熱波は公衆衛生に相当な影響を与え、保健所は対応策を策定、実施し、危険地域や集団を特定し、クーリングセンターを開設し、さらにデータを利用して熱関連疾患や死亡からコミュニティを守るための公衆衛生対策や行動を指導した。環境的な緊急事態下では健康に関する情報をタイムリーに追跡する仕組みが必要である。症候群サーベイランスは健康状態をほぼリアルタイムにモニタリングして対応のきっかけとなることで、このニーズに応え、政策の指針となり、資源を配分し、命を救うことに役立つ。
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