COVID-19パンデミック中におけるインフルエンザおよび他の呼吸器系ウイルスの活性の変化 ― アメリカ、2020～2021年

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MMWR抄訳

2021/07/23Vol. 70 / No. 29

MMWR70(29):1013－1019
Changes in Influenza and Other Respiratory Virus Activity During the COVID-19 Pandemic — United States, 2020–2021

COVID-19パンデミック中におけるインフルエンザおよび他の呼吸器系ウイルスの活性の変化 ― アメリカ、2020～2021年

COVID-19パンデミックとそれに続く非医薬品的介入の実施(海外旅行の中止、マスク着用、物理的距離の確保、ステイホームなど)は一部のウイルス性呼吸器系病原体の感染を減少させている。CDCはアメリカのWorld Health Organization Collaborating Laboratories System(インフルエンザのみ)、CDCのNational Respiratory and Enteric Virus Surveillance System(複数の呼吸器系ウイルス)を介したアメリカの研究所で利用可能なウイルス学的データを分析した。2020年10月3日～2021年5月22日のインフルエンザ活性は、データが初めて公開された1997年以降のどのシーズンと比べて最も低く、検査された臨床検体1,095,080検体のうちインフルエンザ陽性は1,921検体(0.2％)であった[A型インフルエンザ721件(37.5％)、B型インフルエンザ1,200件(62.5％)]。この期間、公衆衛生研究機関では502,782検体が検査され、255検体(0.05％)がインフルエンザ陽性であった[A型153件(60.0％)、B型102件(40.0％)]。サブタイプの内訳はインフルエンザA型39検体中、A(H1N1)pdm09が18件(46.2％)、A(H3N2)が21件(53.8％)、インフルエンザB型25検体中、B/Victoriaが17件(68.0％)、B/Yamagataが8件(32.0％)であった。この期間の検査で確定診断されたインフルエンザによる累積入院率は10万人あたり0.8であり(過去4シーズンでは62.0～102.9)、変異型インフルエンザ[A(H1N1)v、(H1N2)v、および(H3N2)vウイルス]による入院はアメリカの4州から5例報告され、いずれも発症前にブタと接触またはブタのいる農場に住んでいるか働いていた。RSウイルス(RSV)の週間陽性率は2020年1月4日から4月4日にかけて15.3％から1.4％に低下し、その後の1年間、歴史的な低水準のままであった(週あたり1.0％未満)。過去4年間のRSV週間陽性率では10月初旬に3.0％を超え、12月下旬に12.5％～16.7％のピークとなっていた。2021年4月17日～5月22日のRSV週間陽性率は1.1％から2.8％に上昇した。RSVによる2020年10月～2021年4月の累積入院率は10万人あたり0.3例であり(前2シーズンは27.1例および33.4例)、RSVによる2020年10月1日～2021年5月22日の入院件数は226件、そのうち173件(76.5％)が2021年4～5月に発生していた。2020年1月～2021年1月における日常でよくみられるヒトコロナウイルス[HCoV(OC43、NL63、229E、HKU1)]、パラインフルエンザウイルス(PIV)の蔓延レベルは過去4年間に比べ低く、2020年1月4日から2020年4月18日にかけて週間HCoV陽性率は7.5％から1.3％に低下し、2021年2月27日まで1.0％未満を維持したが、2021年5月22日までに6.6％に増加した。過去4年間におけるHCoVの蔓延ピークは12月～1月に生じており、7.7％～11.4％であった。PIVの週間陽性率は2020年1月4日から3月28日にかけて2.6％から1.0％に低下し、2021年4月3日まで1.0％未満を維持したが、2021年5月22日までに10.9％に増加した。過去4年間のPIV蔓延ピークは秋(10～11月)と春(5～6月)であった。ヒトメタニューモウイルス(HMPV)の週間陽性率は2020年1月4日から3月14日にかけて4.2％から6.0％に増加した後、4月11日の週に1.9％に低下し、2021年5月22日まで1.0％未満を維持した。過去4年間のHMPV蔓延ピークは3月～4月で、6.2％～7.7％であった。呼吸器系アデノウイルスの週間陽性率は2020年1月から2021年4月にかけて1.2％～2.6％と歴史的に低い水準となったが、2021年5月22日までに前年と同等の3％に上昇した。ライノウイルス/エンテロウイルス(RV/EV)の週間陽性率は2020年3月下旬から5月上旬にかけて14.9％から3.2％に低下し、その後10月17日まで徐々に上昇したが、ピークは例年(中央値32.8％)に比べ低く、21.7％であった。RV/EVの週間陽性率は 2021年1月16日には9.9％まで低下したが、その後、5月22日には19.1％となった。今後、COVID-19対策が緩和された場合、呼吸器系ウイルスはパンデミック前のレベルに戻る可能性があり、臨床医は一部の呼吸器系ウイルスの活性の増加に留意すべきである。

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