ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)アーミッシュコミュニティにおけるCOVID-19ア・・・
2020/11/13Vol. 69 / No. 45
MMWR69(45):1671-1674
COVID-19 Outbreak in an Amish Community — Ohio, May 2020
アメリカでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスであるSARS-CoV-2のアウトブレイクは、人口密度の高い都市部で最初に報告されたが、その後、地方のコミュニティでのアウトブレイクが報告されている。地方の住民は、平均して高齢であり、基礎疾患の有病率が高く、医療サービスへのアクセスが限られるため、重症なCOVID-19関連疾患のリスクが高い可能性がある。2020年5月9日と5月11日に、オハイオ州ウェイン郡のアーミッシュコミュニティの夫妻がCOVID-19関連の症状を呈し、RT-PCR検査の結果、5月14日にSARS-CoV-2感染陽性が判明した。夫は慢性閉塞性肺疾患の既往があり、5月2日と3日に教会の礼拝に参加、発熱、咳、息切れのために5月15日に入院し、COVID-19による肺炎と診断され、5月17日に退院した。他の家族で癌を煩う成人が5月16日に発症し、5月18日にSARS-CoV-2検査の結果が陽性と判明し、5月21日に死亡した。5月13日~19日、さらに4名のコミュニティ住民が発症し、検査結果が陽性となった。これらの最初の7例が確認された後、コミュニティの指導者はウェイン郡保健局(WCHD)に連絡し、他にもCOVID-19と合致する症状があるコミュニティ住民が多数いることを報告した。その結果、WCHDはオハイオ州保健局と地域司教の支援を受けて、5月20日にアーミッシュの地域学校に検査クリニックを組織し、RT-PCR検査のために鼻咽頭スワブ検体を収集した。CDCおよびオハイオ州保健局の調査員は、11名の主要情報提供者のインタビューを実施した。5月20日のクリニックでの検査とインタビュー中に、コミュニティの住民は過去2週間に6回の集会があったことが報告された[礼拝前の打ち合わせ(5月2日)、教会の礼拝(5月3日、10日、17日)、結婚式(5月12日)、葬式(5月16日)]。クリニックで検査用の鼻咽頭スワブ検体を収集した30名のコミュニティ住民のうち、23名(77%)がSARS-CoV-2検査の結果が陽性であり、陽性者全員がCOVID-19関連の徴候および症状を認めた。COVID-19が確認された計30例の平均年齢は46歳(12~86歳)、21例(70%)が男性、8例に基礎疾患があった。大半のインタビュー対象者は、感染と予防策に関する知識が正確であったが、一部の人では誤解があり、マスク着用が害を及ぼす可能性がある、ビタミンとハーブがSARS-CoV-2感染予防に役立つ可能性があるなどと述べた。また、最新の信頼できるガイダンスへのアクセス制限、マスク着用の社会的または文化的な受容性の欠如、適切で一貫したソーシャルディスタンスへの躊躇などを含む、感染低減戦略の使用に対するいくつかの障壁が明らかになった。コミュニティで進行中の伝染リスクを低減させるためには、州および郡の保健部門のスタッフとコミュニティの指導者が共同で、SARS-CoV-2の感染を防ぐために文化的に取り組みやすい衛生教育メッセージの作成、配信、促進に取り組み、タイムリーで便利な検査サービス利用を確保する必要がある。結束の強いコミュニティの動態を理解することは、SARS-CoV-2感染を低減するために重要である。
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