ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)労働者の喘息および慢性閉塞性肺疾患にかかる医療費 ・・・
2020/07/03Vol. 69 / No. 26
MMWR69(26):809-814
Medical Expenditures Attributed to Asthma and Chronic Obstructive Pulmonary Disease Among Workers — United States, 2011–2015
喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)はアメリカの成人において相当な経済的費用に関係する呼吸器疾患であり、成人の喘息症例の44%、COPD症例の50%が職場での曝露に関連している。今回、CDCは2011年~2015年のMedical Expenditure Panel Surveyデータを分析し、アメリカの18歳以上の労働者の喘息およびCOPDの治療にかかる医療費を割り出した。この期間の調査回答率は47.7%(2015年)~54.9%(2011年)であり、18歳以上の労働者(推定166,347,000人)のうち、792万人に喘息関連(計2,120万6千件)、737万1千人にCOPD関連(計1,454万件)のイベントがあった。喘息およびCOPDの治療にかかった1人あたりの年間平均医療費はそれぞれ$901、$681であり、非ヒスパニック系白人(各$923、$742)、医療保険加入者($914、$705)、現非喫煙者($936、$692)にて高く、年齢別では喘息関連が45~64歳($1,081)、COPDが65歳以上($1,090)にてもっとも高かった。薬剤処方件数は喘息が約1,500万件、COPDが約800万件であり、総医療費(喘息$71億3,700万、COPD$50億2,100万)のうち薬剤費はそれぞれ$52億1,600万、$16億2,700万を占めており、薬剤費を除く1人あたりの年間入院費は喘息が$8,238、COPDが$27,597であった。医療費の支払い元別では民間医療保険が喘息61%($43億2,600万)、COPDが59%($29億4,900万)であり、1人あたりの平均医療費は喘息では民間医療保険($811)が、COPDではMedicare($983)がもっとも高かった。業種別での1人あたりの年間平均医療費は喘息が行政機関($1,279)、輸送/公益事業($1,222)、COPDが行政機関($1,819)、建設業($1,198)にて高かった。労働者の喘息およびCOPDによる健康および経済的な悪影響を軽減するには、職場での曝露を含むリスク因子の早期特定と削減、および適切な介入の実施が必要である。
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