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MMWR抄訳

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2020/06/26Vol. 69 / No. 25

MMWR69(25):781-783
Outbreaks Associated with Untreated Recreational Water — California, Maine, and Minnesota, 2018–2019

未処理のレクリエーション用水に関連するアウトブレイク ― カリフォルニア州、メイン州、ミネソタ州、2018年~2019年

淡水または海水(すなわち未処理)のレクリエーション用水に関連するアウトブレイクは、毒素を含む病原体または化学物質によって引き起こされる可能性がある。2009年~2019年の間に(2020年5月13日現在)、31州の公衆衛生当局が119件の未処理のレクリエーション用水関連のアウトブレイクをCDCのNational Outbreak Reporting System(NORS)へ自発的に報告し、少なくとも5,240例の症例の原因となり、103件(87%)のアウトブレイクが6月~8月に始まった。119件のアウトブレイクのうち、88件(74%)で病因が確認された。主な病因は腸内病原菌で、ノロウイルス[19件(22%)、1,858例]、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)[19件(22%)、240例]、Cryptosporidium[17件(19%)、237例)、およびShigella(赤痢菌)[14件(16%)、713例]であった。今回、主な病因(赤痢菌、ノロウイルス、STEC)によって引き起こされた、2018~2019年に発生したアウトブレイクの3例を取り上げ、アメリカ全体でのアウトブレイクの広域的な地理分布を示した。2019年7月22日、カリフォルニア州公衆衛生局は、カリフォルニア州南部を100マイルにわたって流れるサンタアナ川で遊んだと報告した人から赤痢の症例について通知を受け、その後、合計で、Shigella sonnei近縁の分離株を持つ24症例を特定した。疫学データが利用可能な19例の患者のうち、16例(1~20歳、7例が女性)は7月6日~8月5日の間に川の浅瀬の遊泳区域で遊んだと報告し、臨床データが利用可能な15例のうち2例が入院し、死亡例はなかった。地元の公衆衛生当局は8月8日~15日まで遊泳区域を閉鎖した。上流および遊泳区域での糞便汚染の可能性のある原因の調査では、アウトブレイク源を特定できなかった。 8月15日にアクセス再開後、追加の症例は確認されなかった。2018年7月6日、メイン州疾病予防管理センターは、メイン州ブリッジトンのウッズ池ビーチを訪問後、複数の人に胃腸症状が出現したという報告を受け、ブリッジトン当局は、7月6~10日にパブリックビーチを閉鎖した。ソーシャルメディアを使用して、7月1~6日に池を訪れた人物を特定した結果、合計139人が池を訪れたと報告し、そのうち97人(70%、男性41人)が疾患を報告し、年齢データが利用可能な95人では、年齢の中央値は12歳(1~73歳)であった。発症した4例から採取された2件の便検体は、ノロウイルスgenogroup I陽性で、ノロウイルスがアウトブレイクの病因であると考えられたが、水の汚染源は不明であった。7月11日にビーチが再開後、追加の症例は報告されなかった。2019年8月13日、ミネソタ州公衆衛生局(MDH)は、公共の湖で水泳を報告した人でのSTEC感染の3症例を特定した。MDHは8月13日に症例を公園およびレクリエーション委員会の職員に通知し、遊泳のための湖を閉鎖するように助言した。MDHは、ソーシャルメディアを使用し、近縁の分離株による検査室で確認されたSTEC O145:H28感染4例を含む69例(年齢中央値29歳、1~65歳)を同定した。症状の発現は、7月18日から8月16日までの範囲であった。入院や溶血性尿毒症症候群の症例は報告されなかった。夏の間、ビーチで大腸菌の監視が実施されたが、ミネソタ州のレクリエーション用水基準を超える試験結果はなかった。糞便汚染のエビデンスは確認されなかったが、15人の訪問者と4人のライフガードが、疾患の間も湖で泳いだり働いたりしていると報告された。9月5日にビーチが再開後、追加の症例は報告されなかった。未処理のレクリエーション用水関連のアウトブレイクの検出と調査は困難であり、これらの発生源はしばしば特定されていない。遊泳者は、ビーチの閉鎖の兆候と水質に関する注意書きを確認し、大雨によって濁った水や、下痢の時の遊泳を避け、リクレーション用水を飲み込まず、砂を口に入れないようにする必要がある。

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