ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)ホームレスシェルターにおけるSARS-CoV-2感・・・
2020/05/01Vol. 69 / No. 17
MMWR69(17):521-522
Assessment of SARS-CoV-2 Infection Prevalence in Homeless Shelters — Four U.S. Cities, March 27–April 15, 2020
2020年3月下旬~4月上旬に公衆衛生チームは、5カ所のホームレスシェルター[マサチューセッツ州ボストン(1カ所)、カリフォルニア州サンフランシスコ(1カ所)、ワシントン州シアトル(3カ所)]の居住者とスタッフにおける、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のクラスター(過去2週間で2例以上の症例発生)に対応した。調査では5つのシェルターの居住者とスタッフを対象に、約1~2週間にわたりCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2のRT-PCR検査を実施した。同時期に、ワシントン州シアトルのチームは、それぞれ1症例が確認された12のシェルターで居住者とスタッフに対し検査を行った。ジョージア州アトランタでは、チームが過去2週間にCOVID-19症例がいなかった2つのシェルターで居住者とスタッフに対し、先を見越して検査した。各都市の目的は、症状に関係なくすべてのシェルターの居住者およびスタッフを検査することであり、検査陽性者は病院または事前に指定されたコミュニティ隔離エリアに移送された。全体で、19のホームレスシェルターで居住者1,192名とスタッフ313名が検査された。クラスターの特定に続いて検査したところ、SARS-CoV-2検査結果が陽性であった居住者およびスタッフの割合は、シアトル(各17%、17%)、ボストン(各36%、30%)、サンフランシスコ(各66%、16%)にて高かった。1症例が確認されていたシアトルのシェルターでの感染の割合は低く(居住者:5%、スタッフ:1%)、症例が報告されていなかったアトランタのシェルターでも感染の割合は低かった(居住者:4%、スタッフ:2%)。4つの都市での地域罹患率(試験期間中における10万人あたりの郡での報告症例数/日の平均)は、ボストンで最も高く(14.4例)、サンフランシスコで最も低かった(5.7例)。ホームレス経験者の多くは高齢または基礎疾患を有しているため、重症のCOVID-19関連疾患のリスクが高くなる。ホームレスシェルターの居住者とスタッフを感染から防御するために、CDCではホームレス支援サービス提供者が推奨される感染防止策を実施し、睡眠中に居住者同士の頭が最低2メートル離れていることを確認するなどソーシャルディスタンスの方法を適用し、すべての居住者に布製のフェイスカバー使用を促進することを推奨している。シェルターが設置されている地域内でCOVID-19感染の進行が確認された場合、これらの対策は特に重要になる。また、すべての人に検査をすることで、感染している人の隔離を促進し、これらの環境での感染進行を最小限にすることができる。
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