一般財団法人 国際医学情報センター 信頼できる医学・薬学・医療情報を適切に提供することによって健康社会に貢献します。

一般財団法人 国際医学情報センター

IMICライブラリ IMIC Library

ホームIMICライブラリMMWR抄訳2018年(Vol.67)急性弛緩性脊髄炎の増加 ― アメリカ、2018年

MMWR抄訳

rss

2018/11/16Vol. 67 / No. 45

MMWR67(45):1273-1275
Increase in Acute Flaccid Myelitis — United States, 2018

急性弛緩性脊髄炎の増加 ― アメリカ、2018年

2018年8月に、CDCは2017年の8月と比較して、急性弛緩性脊髄炎(AFM)と臨床的に適合する症状を有する患者の報告数が増加したことに着目した。AFMは1つ以上の四肢の弛緩性筋力低下および脊髄灰白質病変の急速な発生が特徴の稀な疾患で、 2014年以来、CDCは標準化された症例定義を使用してAFMの監視を行っている。2018年1月1日~11月2日の間に、急性の四肢の弛緩性筋力低下がある106例の患者のうち、80例のAFMが確認され(25州)、6例がAFM疑い、20例が非症例として分類された。2017年の同期間と比較して、確認された症例は3倍に増加した。確認された症例の年齢中央値は4歳(7~32歳)、男性は47例(59%)で、人種に関する情報が利用可能な65例のうち、56例(86%)が白人であった。 四肢の筋力低下の発症に先行する4週間の間に、AFMが確認された79例(99%)でウイルス性疾患と一致する徴候および症状が報告され、発熱65例(81%)、呼吸器症状62例(78%)、胃腸症状30例(38%)であった。 筋力低下は上肢のみが38例(47.5%)、下肢のみが7例(8.8%)、2~3肢が12例(15.0%)、四肢すべてが23例(28.8%)であった。 AFMが確認された全患者が入院し、集中治療室に入院したのは47例(59%)で、死亡例はなかった。CDCは検体が入手可能な場合、AFMの臨床基準を満たす全患者に対してエンテロウイルス/ライノウイルス(EV/RV)検査を実施している。 2018年に確認された80例のうち、71例(89%)の患者からの合計125件の臨床検体について試験を行った。 これらのうち、38例(54%)の患者からの検体はリアルタイムRT-PCR試験によりEV/RV陽性で、11例(29%)がEV-A71、14例(37%)がEV-D68、13例(34%)が他のウイルスで、主に非無菌部位由来であった。すべての便検体はポリオウイルスについて陰性であった。これまでの臨床的、検査室的、疫学的エビデンスから、ウイルスとの関連性が示唆されている。 CDCおよび共同研究者は、AFMのリスク要因を調査し、AFMの原因と機序の研究を継続している。両親や介護者は、突然の腕や脚の筋力低下を発症した小児に、直ちに医師の診察を受けさせるべきである。急性弛緩性四肢麻痺の小児の評価において、臨床医は、先行する呼吸器または消化器症状の有無にかかわらず、最近の発熱について調べ、脳脊髄液、血清、呼吸器官、便検体を含むウイルス検査のための検体をタイムリーに採集することが推奨される。 急性の四肢の弛緩性筋力低下のある患者については、臨床検査またはMRI所見にかかわらず、できるだけ早く各保健部門に報告する必要がある。

References

  • Pastula DM, Aliabadi N, Haynes AK, et al. Acute neurologic illness of unknown etiology in children—Colorado, August–September 2014. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2014;63:901–2.
  • Sejvar JJ, Lopez AS, Cortese MM, et al. Acute flaccid myelitis in the United States, August–December 2014: results of nationwide surveillance. Clin Infect Dis 2016;63:737–45. <https://doi.org/10.1093/cid/ciw372>

ページトップへ

一般財団法人 国際医学情報センター

〒160-0016 
東京都新宿区信濃町35番地 信濃町煉瓦館
TEL:03-5361-7080 (総務課)

WEBからのお問い合わせ

財団や各種サービスについてのお問い合わせ、お見積もりのご依頼、
サービスへのお申し込みはこちらをご覧ください。

お問い合わせ