ホームIMICライブラリMMWR抄訳2018年(Vol.67)筋萎縮性側索硬化症の有病率 ― アメリカ、2014・・・
2018/02/23Vol. 67 / No. 7
MMWR67(7):216-218
Prevalence of Amyotrophic Lateral Sclerosis — United States, 2014
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、ルー・ゲーリッグ病としても知られている進行性で致命的な神経筋疾患で、患者の大多数が診断を受けてから2〜5年以内に死亡する。遺伝病の家族性ALSは症例の5%〜10%を占めているが、残りの散発性の症例は病因が明確に定義されていない。 ALSはすべての人種および民族の人々に影響を与えるが、白人、男性、非ヒスパニック系、60歳以上の人、ALSの家族歴を有する者は、この疾患を発症する可能性が高くなる。ALSの治癒はまだ確認されておらず、実証された効果的な治療的介入の欠如は進行中の課題である。利用可能な現在の治療法はALSを治癒させないが、疾患の進行を遅らせることが示されている。最近まで、ALSを治療するために承認された薬物はリルゾールのみであったが、2017年にFDAは二番目となるエダラボンを承認した。2008年、アメリカ議会はCDCによるASLの登録の作成と保守を承認したALS登録法を可決し、CDCはこの職責を有害物質・疾病登録局(ATSDR)に移管した。ALS症例の特定には二股のアプローチが使用され、第一の構成要素には、3つの大規模な全国データベース(Medicare、Veterans Health Administration、 Veterans Benefits Administration)から、ALSの国際疾病分類コード、神経科医への受診頻度、処方薬のような要素含むアルゴリズムを適用し、「明確なALS」、「ALSの可能性」、「ALSではない」と分類する。明確なALS症例のみ登録した。第二の構成要素には、第一の構成要素を介して収集されない症例の識別を容易にするために、ALSを有する人が自己登録することを可能にする安全なウェブポータルが含まれた。さらに、この報告書では、初めてのメディケアのホスピスデータが含まれた。2014年の国勢調査の推定値を分母として使用した。2014年の3つの全国的なデータベースとWebポータル登録を通じて、合計で15,927例が、明確なALSを有すると特定された。推定された2014年の罹患率は、人口10万人あたり5.0人であり、2013年から増加していない(10万人あたり5.0人)。年齢層で有意な増加は認められなかった。人口10万人あたり有病率の最低は18~39歳(0.5人)、最高は70~79歳(20.0人)であった。2013年と同様に、男性(6.3人)の有病率は女性(3.6人)よりも高く、男女比は1.7:1であった。白人有病率(5.4人)は、黒人(2.4人)の2倍以上であった。国勢調査の4つの地域の人口10万人あたりの有病率は、中西部(5.7人)、北東部(5.5人)、南部(4.7人)、西部(4.3人)の順であった。継続的な強化および広範な支援と振興を通じて、国家的なALS登録はアメリカでのALSの研究を拡大し、より多くのALS症例を検出する可能性を秘めている。
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