ホームIMICライブラリMMWR抄訳2010年(Vol.59)地震後の全国サーベイランスシステムの開始-ハイチ、・・・
2010/08/06Vol. 59 / No. 30
MMWR59(30):933-938
Launching a National Surveillance System After an Earthquake - Haiti, 2010
2010 年1月12日、ハイチでマグニチュード7.0の地震が起こり、約23万人が死亡、約30万人が負傷した。当時ハイチにはタイムリーに健康状態のサーベイランスを行うことができるシステムがなかったため、2週間以内にハイチのMinistry of Public Health and Population(MSPP)、Pan-American Health Organization(PAHO)、CDCおよびその他の国立および国際機関がNational Sentinel Site Surveillance(NSSS)システムを開始した。その目的は、疾病の傾向を監視し、アウトブレイクを発見し、救援対策の対象とする罹患集団の特徴を調査することであった。U.S. President’s Emergency Plan for AIDS Relief(PEPFAR)と提携している51の病院および診療所のサーベイランスサイトを選び、25種類の報告すべき特定の疾病(感染性疾患、非感染性疾患、損傷など)の患者数をe-mailまたは電話により毎日報告するよう指示した。2010年1月25日~4月24日に全体で42,361例が報告され、このうち23,081例(54.5%)は女性、13,798例(32.6%)は5歳未満であった。全国的に報告頻度が最も高かった特定の疾病は、急性気道感染症(6,910例[16.3%])、マラリア疑い(4,366例[10.3%])、不明熱(4,240例[10.0%])であった。また損傷患者は5,065例(12.0%)であった。疾病のクラスターやアウトブレイクは検出されず、報告患者数は徐々に減少した。NSSSは現在も継続されており、ハイチにおける長期全国サーベイランスシステムに移行中である。NSSSのデータは資源分配や効果的な公衆衛生介入の決定に利用可能であり、また健康管理者に対するサーベイランス教育、検査による患者確定、インターネットでの週刊報告によって、データの報告と質は今後さらに改善する可能性がある。
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