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MMWR抄訳

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2010/07/23Vol. 59 / No. 28

MMWR59(28):872-877
Gastrointestinal Anthrax after an Animal-Hide Drumming Event - New Hampshire and Massachusetts, 2009

獣皮製太鼓の演奏イベント後の胃腸炭疽-ニューハンプシャーおよびマサチューセッツ、2009年

2009 年12月24日、ニューハンプシャー州の24歳の女性が臨床所見と血液培養の結果から胃腸炭疽と確定診断された。本症例は症状発現(12月5日)の前日に地域のビルで開催された獣皮製太鼓の演奏サークルのイベントに参加していた。この報告は、その症例の臨床経過やその後の調査結果などについて述べる。このイベントには72名が参加し、59個の太鼓が使用され、演奏は約2時間続いた。本症例は12月5日に発熱や発汗、筋肉痛などのインフルエンザ様症状が発現し、その後、悪心、嘔吐、めまいを伴った腹部痙攣が発現したため14日に近医を受診し、すぐに救急診療部に搬送された。腹部CTにて大量の腹水と小腸の浮腫性病変などを認めたため試験開腹を行い、腸を部分切除した。術後症状は安定したが、12月24日、Massachusetts Department of Public Healthでの検査にて12月15日に採取された血液検体よりBacillus anthracisが検出され、胃腸炭疽と確定診断された。同検査室はNew Hampshire Department of Health and Human Services(NHDHHS)やCDCなどに情報を提供し、NHDHHSは周辺の州に報告して疫学調査を開始した。その演奏イベントの参加者など84 名が炭疽に曝露された可能性があることが判明したが、イベント前後のニューハンプシャー州の疾病サーベイランスデータ(2009年10月1日~2010年 2月3日)と臨床的微生物検査記録(2009年10月1日~2009年12月26日)をレビューし、さらなる患者がいないことが確認された。12月26日に実施した初回環境調査では太鼓の皮などから採取した3検体がB.anthracis陽性であり、より広範囲の詳細な調査ではさらに6検体で陽性結果が得られた。これより、B.anthracisに汚染された太鼓を叩いたことでその胞子がエアゾール化し、それに曝露されて胃腸炭疽を発症したと考えられた。全ての環境および太鼓から採取された検体より分離された菌株の遺伝子型は、MLVA-8(多重座変数縦列反復解析)にて患者由来分離株と一致した。公衆衛生局は炭疽症例の調査時に曝露源として獣皮製太鼓との接触(太鼓の製造、演奏、演奏イベントへの参加)を考慮する必要がある。またB.anthracis感染症と一致する疾患の患者より未知のグラム陽性菌が検出された場合には医療提供者にすぐに報告し、医療提供者、研究所、公衆衛生局は速やかに確定診断を行う必要がある。

References

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