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MMWR抄訳

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2010/07/23Vol. 59 / No. 28

MMWR59(28):869-871
La Crosse Virus Neuroinvasive Disease - Missouri, 2009

La Crosseウイルスによる神経侵襲性疾患-ミズーリ、2009年

カリフォルニア血清群ブニヤウイルスであるLa Crosseウイルス(LACV)はアメリカにおける小児アルボウイルス脳炎の主因であり、主に蚊(eastern treehole mosquito[Aedes triseriatus])によって伝播する。2009年8月7日、Missouri Department of Health and Senior Services(MDHSS)はLACV神経侵襲性疾患の疑いのある8歳男児の報告を受けた。この報告は、その症例の臨床経過や環境調査の結果などを述べる。本症例は7月29日に頭痛、疲労、悪心、嘔吐、腹痛を主訴として地域の救急診療部を受診した。連鎖球菌性咽頭炎と推定されアモキシシリンを処方されたが、その後も嘔吐が続き発熱と頭痛の悪化がみられたため、7月31日に再度救急診療部を受診した。神経学的徴候がなく頭部CT検査でも明らかな病変がみられなかったが、発熱と重度の頭痛、難治性嘔吐が続き急性髄膜炎の懸念があるため、8月1日に小児病院に搬送された。8月3日に各種ウイルス抗体を検査するため血清と脳脊髄液(CSF)をレファレンスラボラトリーに提出し、8月7日にカリフォルニア血清群ウイルスに対する抗体(IgM、IgG)が検出された。カリフォルニア血清群ウイルスとしてはLACVの割合が最も多いことから、LACVによる神経侵襲性疾患と推定診断し抗生物質を中止した。その後頭痛や腹痛は改善し、8月7日に退院した。退院後も神経学的異常などはみられていない。本症例は、その後CDCでの検査にてLACV感染症と確定診断された。 8月13日にMDHSSが行った患者の家族へのインタビューにおいて、母親は患者が発症前の週に自宅近くの林で遊び多数の蚊に刺されていたことを報告した。また環境調査では、患者の自宅から半径300フィート圏内に多数の蚊の生息地(木の穴や廃棄タイヤなど)が確認された。アメリカでは主に中西部の北側と東海岸でカリフォルニア血清群ウイルスによる神経侵襲性疾患が1964年以降毎年29~167例(中央値67例)報告されている。本症例は、2002年以降にミズーリ州で報告された初めてのLACV神経侵襲性疾患症例である。Ae.triseriatusはミズーリ州全体だけでなくカンサス州中部やネブラスカ州東部でも見つかっているため、この地域の医療提供者は夏から秋にかけて発症した原因不明の髄膜脳炎患者に対してLACV感染を疑う必要がある。LACV感染症のリスクは、防蚊剤の使用、長袖・長ズボン・靴下の着用、網戸の取り付けや修理、木の穴の充填、容器にたまっている水の除去などによって低下させることが可能である。

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