ホームIMICライブラリMMWR抄訳2007年(Vol.56)ポリオ根絶への前進-ナイジェリア、2005~200・・・
2007/03/30Vol. 56 / No. 12
MMWR56(12):278-281
Progress Toward Poliomyelitis Eradication - Nigeria, 2005-2006
過去にポリオウイルス感染の中断を経験していないのは、わずか4ヵ国(アフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタン)である。ナイジェリアは、2006年に最高症例数を数え、世界中で報告された2,002症例のうち1,129症例(56%)であった。一方で、同年にナイジェリアで全国ポリオ根絶計画へ向けた大改革が実施された。ナイジェリア(2006年の人口:14,000万人)は、経口ポリオウイルスワクチン(OPV)に対する国民の信頼が喪失し、特定の北部の州における追加予防接種活動(SIAs)が一時中止した後、2003~2004年に野生ポリオウイルス(WPV)の再流行を経験した。その後、WPVはナイジェリア国内およびポリオのない19カ国に拡散した。全国SIAs再開後も受け入れが制限され、運用上の問題が継続したために、予防接種率は低く、ポリオウイルス感染は継続した。WPV1型(WPV1)と3型(WPV3)両方に起因するナイジェリアのポリオ確認症例数は、2004年の782症例から2005年の830症例、そして2006年の1,129症例(2007年3月23日時点)へ増加した。ポリオ根絶方法の効果を高め、予防接種の地域参加を増加するために、2006年にナイジェリアの保健局は単味1型OPV(mOPV1)ワクチンを導入し、SIAs実施方法を変更した。この報告は、2005~2006年のナイジェリアにおけるポリオ根絶に向けた新たな取り組みと全体的な進展を要約している。2005年、幼児におけるOPV3回投与の報告された全国定期予防接種率は31%であった。同年、ナイジェリアは定期予防接種率を改善する新たなReaching Every Ward戦略方法を採用し、医療従事者への訓練と指導を強化し、地方の区レベルでサービスを改善することに焦点を当てた。しかし、2005年後半から2006年初頭のポリオ確認症例数は、多くの小児が予防接種を受けてないので、ポリオウイルス感染、特にWPV1によるポリオ感染に感受性を持ったままであることを示した。National Programme Immunizationは、37州のうち32州(北部全州を含む)において、2006年3月のSIAs実施期間にWPV1に対してより効果的なmOPV1の使用を開始し、5月にはImmunization plus days(IPDs)と呼ばれるSIA実施の修正計画を導入した。ポリオ症例を確認するために、Global Polio Eradication Initiativeは急性弛緩性麻痺(AFP)サーベイランスシステムを使用しており、このシステムを通して15歳未満の全小児におけるAFP症例と全年齢のポリオがポリオの可能性があるとして報告され、調査された。2005~2006年に報告された1,959件のWPV症例のうち合計830症例(42%)は2歳未満(1,867症例は5歳未満)、1,483症例(76%)はOPVの3回投与未満接種の小児に発症した。2005年末において、WPV1の月別罹患率は乾季に異常に高く、2006年初頭は前年同期と比較して大幅な症例数増加を持続した。2006年のWPV1流行のピークは3月で、6月は大幅に症例数が減少した。WPV1の罹患率低下は、ポリオ罹患率の最も高い3州で宣言された。2006年7月~12月、これら3州のWPV1罹患率は、2005年の同時期よりも63%減少したが、2006年のWPV3の流行は大幅には減少しなかった。
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