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MMWR抄訳

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2006/09/29Vol. 55 / No. 38

MMWR55(38): 1042-1045
Importance of Culture Confirmation of Shiga Toxin-producing Escherichia coli Infection as Illustrated by Outbreaks of Gastroenteritis - New York and North Carolina, 2005

胃腸炎のアウトブレイクで明らかになった志賀毒素産生性大腸菌感染症の培養確認の重要性-ニューヨーク州およびノースカロライナ州、2005年

大腸菌O157:H7および志賀毒素(Stx)を産生するその他の大腸菌株は、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)と総称して知られる。生鮮ほうれん草の摂取による最近のSTECO157のアウトブレイクは、感染源特定のために分離株を入手する重要性を明らかにしている。STEC確認のために糞便検体の細菌培養を必要としない検査手法が臨床診断検査室で使用されることが多くなっており、培養中に菌株を分離する方法で追加確認しない場合がある。この報告は、2005年のニューヨーク州とノースカロライナ州における胃腸炎発生結果について述べており、そこでは当初臨床診断検査室は志賀毒素検出に非培養方法のみを使用していた。この結果から、適切な公衆衛生活動実施のため、適時にまた信頼のおけるSTEC感染症の確認ができるように、細菌培養によるStx陽性糞便検体で確認を行う重要性に焦点を当てている。この確認で、発生が検知され、感染源が追跡できるように、全STEC分離株の血清型とSTECO157菌株の亜型を決定することが重要である。ニューヨーク州では、2005年8月28日から9月13日までに州の矯正施設における2,160被収容者のうち合計52人(2.4%)が下痢を報告し、うち17人(33%)は出血性下痢であった。19人は刑務所診療所で治療を受け、うち3人は平均1.8日入院した。3人の糞便検体は、臨床診断検査で酵素免疫測定法(EIA)によりStx陽性と診断された。その後、21人の被収容患者から採取された糞便検体は、ニューヨーク州保健省(NYSDOH)-Wadsworth Centerへ送られた。3患者の分離株はCDCに送付され、STEC血清型O45:非運動性(NM)と確認された(1患者はSTEC血清型O45:NMとO45:H2の両方が確認された)。これらのSTECO45分離株は、XbaIとBlnI制限酵素を使用したパルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)では区別できなかった。ノースカロナイナ州では、2005年11月10日にデビッドソン郡保健局が、託児所における6ヵ月幼児の非出血性下痢の報告を受けた。下痢は、さらに託児所の4人と元の患者の家族3人から報告され、患者糞便検体の増菌培地は、臨床診断検査でEIAによりStx陽性と診断された。数日後、検査室はこの糞便検体の増菌培養をノースカロライナ州公衆衛生研究所に送付したが、STECO157、STEC血清群O26、O45、O103、O121、O111、O145も分離されなかった。またCDCに送付され、EIAによりStx陽性と診断されたが、PCR検査はStx1とStx2に対して陰性であった。その後、ノースカロライナ州公衆衛生研究所は、5人の患者の糞便について元の患者を含む追加検査を実施し、逆転写PCRによりノロウイルス陽性と診断された。

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