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MMWR抄訳
2006/09/29Vol. 55 / No. 38
MMWR55(38): 1040-1042
Chikungunya Fever Diagnosed Among International Travelers - United States, 2005-2006
海外渡航者から診断されたチクングンヤ熱-米国、2005~2006年
チクングンヤウイルス(CHIKV)は、熱帯アフリカやアジア固有のアルファウイルスであり、通常Aedes属の感染蚊に刺されてヒトに感染する。CHIKVに起因するチクングンヤ(CHIK)熱は、1952~1953年の東アフリカにおける流行で初めて確認された。「チクングンヤ」は、この疾病によって激しい関節痛に苦しむ患者のねじ曲がった姿勢を表す方言から由来したと考えられている。CHIK熱の流行は、ヒト-蚊-ヒト感染によって持続されるので,流行周期はデング熱や都市黄熱と類似する。CHIK熱の大発生は、インド洋の複数の島とインドで最近報告されており、2006年のCHIK熱症例は既知の発生地域からヨーロッパ、カナダ、カリブ諸島(マルティニク島)、南アメリカ(仏領ギアナ)へ帰国した渡航者においても報告されている。2005~06年、CHIK熱の12症例は、流行や風土病で知られる地域から米国に帰国した渡航者の中に、CDCで血清学的、ウイルス学的に診断された。この報告は、そのうちの4症例について述べ、医療機関へのガイダンスを提供している。臨床医は渡航者の追加症例を警戒し、公衆衛生当局はウイルス血症患者による地域の蚊の感染を通して媒介されるCHIKV地域感染の徴候を注視する必要がある。症例としては、2005年5月12日にミネソタ州の成人男性が、ソマリアとケニアへの3ヵ月旅行から帰国後数時間で発熱、頭痛、倦怠感、主に肩と膝の関節痛を発現した。5月13日に入手した血清はCDCで検査され、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)でCHIKV RNAとは確定できず、低ウイルス血症と合致した。CHIKV感染は、この急性期血清検体でのIgM抗体と回復期血清(発症から214日後に採取)での中和抗体により確認された。関節痛は数週間後に消滅した。また、2006年1月15日にインド在住の成人女性が、発熱、関節痛、筋肉痛を主訴として発病したが、3月にはルイジアナ州に旅行して持続する関節痛の診療を受けた。CDCによって発症から74日後に採取された血清検体で、CHIKVに対するIgMと中和抗体が陽性となった。メリーランド州の成人女性は、2005年10月から2006年3月半ばまでインド洋レユニオン島を訪ね、島でCHIK熱アウトブレイク中の2006年2月18日に発熱、手足の関節痛、発疹を発現した。地域の医師は臨床的にCHIK熱と診断したが、臨床検査は実施されなかった。米国に帰国後、患者は持続する関節痛で受診し、CDCによって発症から32日後に採取された血清検体は、IgM抗体は不確定、中和抗体が陽性となり、最近のCHIKV感染と一致していた。コロラド州の成人男性は、2006年4月17日から5月29日にジンバブエを訪れた。4月29日に発熱、悪寒、関節痛、頚部硬直を、数日後に発疹を発現した。約1ヵ月持続した関節痛を除く全症状は、2週間以内に消滅した。CDCによって発症から44日後に採取された血清検体は、IgMと中和抗体が陽性であった。
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