ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)自家製の竹の子の缶詰によるボツリヌス中毒-タイ、ナ・・・
2006/04/14Vol. 55 / No. 14
MMWR55(14):389-392
Botulism from Home-Canned Bamboo Shoots - Nan Province, Thailand, March 2006
2006年3月15日、タイのナン県において多数の人々が悪心、嘔吐、腹痛、呼吸困難を訴えBaan Luang地区の救急部を受診したため、Thailand Ministry of Public Health(MOPH)の疾病管理部疫学局のチームはBaan Luang 地区の調査チームと協力して調査を開始した。この報告は、3月15日-26日に実施された調査の概要である。2006年3月14日、ナン県のBaan Luang地区、Pakaluang区のNawaimai村で年1回の宗教上の儀式が行われ、Pakaluangおよび近隣区域の住民が参加した。同日、フェスティバル出席者数人が胃腸炎の症状を訴え、地域の健康管理者を訪れた。症状はその後進行し、延髄麻痺や呼吸抑制(3例は換気補助を施行)なども発現したため、ボツリヌス中毒のアウトブレイクが疑われた。迅速な調査によりそのイベントへに参加した住民は354名で、このうち200名(56%)はイベントで提供された料理を食べていたことが確認された。3月15日-26日にこの200名中163例(82%)が食中毒の症状を示した。これら症例の年齢中央値は45歳(13-75歳)で113例(69%)が女性であり、発症日は3月14日(午後2時)-18日(87例[53%]は15日)であった。163例中141例(86.5%)は地域の病院を受診し、全例が入院した。主な症状は腹痛(116:76.8%)、口渇(76:50.3%)、悪心(76:50.3%)などであった。発症例全例が共通して食べていた料理は自家製の竹の子の缶詰であった。MOPHの調査より缶詰の竹の子からClostridium botulinumが検出され、PCR法よりA型毒素と同定された。MOPHはCDCなど国際的パートナーに要請してボツリヌス中毒の抗毒素を入手し、70例に投与した。4月10日現在、25例が入院中であるが、死亡例はない。
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