ホームIMICライブラリMMWR抄訳2005年(Vol.54)国定届出伝染病における人種格差-アメリカ,2002・・・
2005/01/14Vol. 54 / No. 1
MMWR54(1):9―11
Racial Disparities in Nationally Notifiable Diseases - United States, 2002
感染性疾患はアメリカにおける疾病率、死亡、障害の主要原因であり、しばしば人種/民族間格差がみられる。国定届出伝染病発症率の人種/民族間格差を調査するため、CDCはNational Electronic Telecommunications System for Surveillance(NETSS)を通して収集された Nationally Notifiable Diseases Surveillance System(NNDSS)の2002年デ―タをレビュ―した。2002年、42種類の届出伝染病患者1,362,628例が報告された。そのうち人種デ―タが提供されたのは70%であり、ラテンアメリカ系人種デ―タの提供率は65%であった。各疾患における人種デ―タの欠如率は5%(連鎖球菌毒素性ショック症候群6例)―71%(コクシジオイデス症3,527例)、ラテンアメリカ系人種デ―タの欠如率は0%(梅毒)―66%(コクシジオイデス症)であった。20,000例以上の患者が報告された感染症はクラジミア感染症(834,555例)、淋病(351,852例)、サルモネラ症(44,264例)、ライム病(23,763例)、細菌性赤痢(23,541例)、ジアルジア症(21,206例)の6疾患であった。これら6疾患中3疾患、届出伝染病全体では42疾患中8疾患において、黒人の発症率が白人の2倍以上を示した。特に黒人の淋病発症率(10万人あたり)は570.4で、白人(23.6)の24倍であった。その他黒人と白人で発症率に差がみられる疾患として、マラリア(黒人1.8、白人0.2)、クラジミア感染症(805.9、90.2)、梅毒(9.4、1.1)、細菌性赤痢(16.8、4.0)、腸チフス(0.1、0.02)、B型肝炎(3.9、1.5)、侵襲性・薬物耐性Streptococcus pneumoniae感染症(1.5、0.7)があった。一方、ライム病発症率は白人(7.8)が黒人(0.7)の約11倍、ジアルジア症発症率は白人(5.4)が黒人(2.5)の約2倍であった。人種別にみると、アメリカンインディアン/アラスカ原住民はサルモネラ症(17.4)と細菌性赤痢(19.7)の発症率が最も高かった。このような届出伝染病発症率に関する人種間格差を減少させるためには、公衆衛生的な努力とともにより正確で完全な国定届出伝染病の人種/民族別デ―タが必要である。
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