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MMWR抄訳

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2004/04/02Vol. 53 / No. 12

MMWR53(12):268-270
Blood Lead Levels in Residents of Homes with Elevated Lead in Tap Water - District of Columbia, 2004

水道水中の鉛レベル上昇がみられた住宅の住人における血中鉛濃度-ワシントンDC,2004年

鉛曝露は幼児の知能発達に悪影響を及ぼし、成人の高血圧リスクを上昇させる可能性がある。ワシントンDC(DC)の住宅約13万戸のうち約23,000戸(18%)は鉛製給水管を使用している。2003年3月、DCのWater and Sewer Authority(WASA)は鉛製給水管を有する住宅を対象とした水中鉛検査プログラムの検査範囲を給水本管から家屋内の給水管にまで拡大した。2004年1月後半までの水質検査の結果、検査した住宅の大部分で水中鉛値がEnvironmental Protection Agency(EPA)のaction限界15ppbを超えていることが明らかになった。2月16日、DC Department of Health(DCDOH)はCDCなどに協力を求め、住宅の水道水中鉛レベル上昇の健康への影響について調査を開始した。CDCは1991年に健康上の有害効果と関連する小児血中鉛濃度(BLL)を10μg/dLとしたが、最近それ以下の濃度でも有害効果が報告されており、安全なBLLは確定されていない。1998年1月―2003年12月にDCDOH血中鉛サーベイランスシステムにより記録された84,929名のBLLを分析した結果、BLLが10μg/dL以上と5μg/dL以上の住人の割合はかなり減少したことが明らかになった。2000年―2003年、鉛製給水管を有する住宅の住人のうちBLLが10μg/dL以上の住人の割合は9.8%から7.6%とかなり減少した。一方5μg/dL以上の住人の割合は、鉛製以外の給水管を有する住宅の住人では22.7%から15.6%と有意に減少したが、鉛製給水管を有する住宅の住人では有意な減少はみられなかった(32.4%―31.2%)。これより、水道水中の鉛はBLLの若干の上昇に関与することが示唆された。しかし水道水中の鉛レベルが300ppb以上であった98戸の住人201名についてBLLを測定した結果、BLLは全員CDCの基準値(6ヶ月―15歳の小児:10μg/dL、成人:25μg/dL)以下であった。2004年2月26日、DCDOHはDC内の鉛製給水管を有する住宅全てに書簡を送り、幼児と妊婦、授乳婦は濾過されていない水道水を飲むのをしばらくの間控えるよう勧告した。

References

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  • District of Columbia Department of Health. Health advisory: lead in Washington, DC. February 26, 2004. Available at <http://www.dchealth.dc.gov>.
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