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MMWR抄訳

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2004/04/02Vol. 53 / No. 12

MMWR53(12):265-268
Two Cases of Visceral Leishmaniasis in U.S. Military Personnel - Afghanistan, 2002- 2004

米軍職員における内臓リーシュマニア症の2例-アフガニスタン,2002~2004年

内臓リーシュマニア症(VL)はサンショウバエが媒介する寄生虫病であり、この疾患が風土病である熱帯地方、亜熱帯地方、ヨーロッパ南部への渡航者やその地域の居住者で発症リスクが高い。アフガニスタンでは1980年代に21例のVL患者が報告されている。この報告では、2001年に開始されたOperation Enduring Freedomの支援のためアフガニスタンに派遣された米軍職員のうちVLと診断された2例についての予備的データを紹介する。これら2例(31歳男性、39歳男性)はそれぞれアフガニスタンから帰国してそれぞれ3、14ヶ月後の2003年12月に熱性疾患を発症した。2例とも個人的感染予防策を実施していたが、虫にはよく咬まれていた。症状として発熱、悪液質、肝脾腫大症、汎血球減少、低アルブミン血症を伴った高ガンマグロブリン血症を認めた。両例は2004年1月に入院したが、これら症状全てが初診時にみられたわけではなく、さらにこれら症状はVLに特異的ではないこと、初診時のVL検査(骨髄検体の光学顕微鏡観察)が陰性であったことから、その後様々な検査が行われ、VLと確定診断されたのは2004年2月であった。1例はアンホテリシンBによる治療により1週間後に解熱した。他の1例はアンホテリシンBによる治療により一旦は症状が改善したが、その後悪化した。肝生検検体のPCR分析ではLeishmania donovani-L.infantum複合体陽性、Leishmania major陰性であり、5価アンチモン化合物スチボグルコネートナトリウムによる治療を開始した。南西/中央アジア(あるいはVLが風土病である他の地域)に派遣された軍職員において持続性熱性疾患が発現した場合、特にVLを示唆する脾腫や汎血球減少などの症状がみられた場合には、健康管理者はVLを考慮するべきである。

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