ホームIMICライブラリMMWR抄訳2003年(Vol.52)輸血により伝播した可能性のあるマラリア-テキサス州・・・
2003/11/07Vol. 52 / No. 44
MMWR52(44) : 1075-1076
Probable Transfusion-Transmitted Malaria - Houston, Texas, 2003
テキサス州ヒューストンにおいて輸血によりマラリアに感染したと考えられる症例を紹介する。2003年3月、糖尿病性腎症と高血圧症の既往のある69歳の患者が悪性の高血圧症と急性腎不全を主訴としてヒューストン地域の病院に入院した。入院3日後、重度貧血のため2ユニットの赤血球(PRBC)輸血を受けた。輸血から17日後発熱と精神錯乱を発現し、その3日後別の病院のICUに入院した。血液培養と脳脊髄液検査では細菌性病原体の存在は示されなかったが、血液塗抹標本にてPlasmodium falciparumが確認された。患者はキニジンとドキシサイクリンの治療により軽快した。Texas Department of HealthはCDCおよび地域の採血センターと協力し、患者の輸血に使用した2ユニットのPRBCのドナーについて追跡調査を行った。ドナー1名は国外への渡航経験のないアメリカ生まれのテキサス州居住者(47歳女性)、他の1名はガーナ人(18歳男性)であった。このガーナ人男性の献血時の記録では2年前にガーナから到着しマラリア感染歴はないとされていたが、今回の調査にて2.5年前にガーナでマラリアの治療を受けていたことが明らかとなった。献血から4-5週間後の両ドナーの血液サンプルを塗抹検査、PCR法、間接的免疫蛍光(IFA)法により調べた。アメリカ人ドナー由来検体は全検査で陰性であった。一方、ガーナ人ドナー由来検体は塗抹検査とPCR法は陰性であったが、IFA法にてマラリア抗体価上昇を認めた。アメリカでは供血に対するマラリアのスクリーニング検査は存在しない。本症例により輸血伝播マラリアの予防に対するドナーの効果的なスクリーニングの重要性が明らかとなった。
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