ホームIMICライブラリMMWR抄訳2003年(Vol.52)最新情報:重症急性呼吸器症候群(SARS)-アメリ・・・
2003/06/13Vol. 52 / No. 23
MMWR52(23) : 550-550
Update: Severe Acute Respiratory Syndrome - United States, June 11, 2003
CDCはWHOなどとともに重症急性呼吸器症候群(SARS)患者について調査を続けている。世界各地とアメリカのSARS患者に関する情報を更新し、検査にてSARS関連コロナウイルス(SARS-CoV)感染エビデンスを認めたアメリカでの8例目の可能性例を報告する。2002年11月1日-2003年6月11日、WHOにはアメリカを含む29ヶ国から8,435例のSARS可能性例が報告され、うち789例が死亡した(死亡率9.4%)。アメリカでは42州とプエルトリコから393例のSARS患者が報告されている。うち323例(82%)は疑い例、70例(18%)は可能性例(肺炎や急性呼吸困難症候群を有するより重度の疾患)に分類されたが、SARS関連死は報告されなかった。可能性例中68例(97%)は発症前10日間にSARS市中伝播地域への渡航歴があり、残る2例(3%)はSARS患者を治療した医療従事者とSARS患者と接触した家族であった。旅行が原因とみられる可能例中35例(51%)は中国本土、17例(25%)は香港、5例(7%)はシンガポール、1例(1%)はハノイ、14例(21%)はトロント、5例(7%)は台湾へ渡航しており、7例(10%)はこれら地域の2ヶ所以上を訪れていた。SARS-CoVに対する抗体の血清学的検査は疑い例134例、可能性例41例で完了した。疑い例ではSARS-CoVに対する抗体陽性例はみられなかったが、可能例では8例(20%)が陽性であった。8例目の陽性例は5月15日にトロントへ旅行したノースカロライナ州の住民であり、5月16日と17日に医療施設に入院中の親類を訪ねた。訪問時の親類の同室患者とその来訪者はその後SARSと診断された。患者は5月18日に帰国、5月24日に発熱を呈し、その後呼吸器症状を発現した。5月27日に外来で治療を受け、6月3日の胸部X線検査で肺炎が明らかとなった。現在自宅隔離中である。この患者の血清学的検査は、発症10日目では陰性であったが、11日目に陽性となった。発症後11日目に鼻咽頭と口腔咽頭の塗抹標本を採取した。RT-PCR法にてSARS-CoV RNAは検出されなかった。
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