ホームIMICライブラリMMWR抄訳2002年(Vol.51)白人および黒人乳児死亡率および出生時低体重-アメリ・・・
2002/07/12Vol. 51 / No. 27
MMWR51(27) : 589-592,2002
Infant Mortality and Low Birth Weight Among Black and White Infants - United States, 1980-2000
CDCによる1980年-1999年および2000年の乳児死亡率データの分析結果報告。出生証明から出生時低体重(LBW : <2,500g)および出生時超低体重(VLBW : <1,500g)の動向を分析し、出生時体重別死亡率(BWSMR)を白人および黒人で比較検討した。出生数は1980年3,612,258人(白人2,936,351、黒人568,080)、2000年4,064,948人(白人3,202,932、黒人619,970)であり、全乳児死亡率は期間中45.2%[白人47.7%(10.9-5.7)、黒人36.9%(22.2-14.0)]低下し、黒人/白人比は25.0%(2.0-2.5)上昇した。LBW発症率は全体で11.8%[白人14.0%(5.7-6.5%)、黒人2.4%(12.7-13.0%)]上昇し、黒人/白人比は10.0%低下した(2.2-2.0%)。黒人LBW発症率は1980年代に6.3%上昇し、1990-2000年は2.3%低下した。一方、白人は1980年代にはほぼ一定であったが、1990-2000年は14.0%上昇した。VLBWの場合、全体で24.3%[白人26.7%(0.90-1.14%)、黒人23.8%(2.48-3.07%)]上昇し、黒人/白人比は2.5%低下した(2.76-2.69%)。1980年代には黒人19.0%、白人5.6%であったが、1990-2000年には黒人5.1%、白人20.0%と逆転した。1983-1999年、LBW児のBWSMRは全体で36.9%低下した。Moderate LBW(MLBW:1,500-2,499g)とVLBWは白人でそれぞれ49.4%、41.6%、黒人でそれぞれ38.0%、28.4%低下した。黒人/白人比は全LBW児で39.0%(1.03-1.43%)、MLBWで22.4%(0.85-1.04%)、VLBWで22.3%(0.94-1.15%)上昇した。また、出生児体重2,500g以上の乳児BWSMRは白人黒人ともほぼ同等に低下した。以上、ここ20年における乳児死亡率は低下しているが人種別格差は拡大しており、その原因として、白人に比べ黒人におけるLBW、VLBWの危険率が2倍から3倍高いこと、黒人VLBW児のBWSMRがそれ程低下していないことが挙げられる。また、最近の白人におけるLBW、VLBW発症率の上昇は、早産の増加、産科治療の変化、陣痛促進、生殖治療による多産児出産の増加(1980-1997年の双生児出生率は黒人の約2倍)によると考えられる。人種別格差の原因は複雑であり、単に結婚年齢や教育や生活水準によるものではなく、母親の医療状態やストレス、社会的援助の欠如、細菌性膣疾患、早産経験、母親の運動状態などの種々の要因が関与すると考えられ、今後、乳児死亡率の人種別格差是正を目的とした戦略の展開が望まれる。
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