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2016/11/25
平成28年度 第4回IMICセミナー
メディカルラティング講座2016 ~実践から学ぶライティングの基礎~
2016年11月25日,第4回IMICセミナーが開催されました。
今回のセミナーは昨年度ご好評をいただいたメディカルライティング講座の2回目にあたり,引き続き,メディカライト・ジャパンの石塚善久先生にご講演いただきました。今回は,治験の実施計画書・総括報告書,CTD,雑誌記事などで実際に見られた文章を使って,どこがどのようにおかしいのか参加者で検討しながら進める演習形式で,昨年に比べてもより実践に踏み込んだ内容となりました。
はじめに,ライティングの基本となる「心得3ヵ条」「4C」について学びました。高度な専門性が要求される医療業界では,ともすると,エキスパート向けの文章になってしまいがちですが,あくまで一般の人が理解できる文章を書くことの重要性を確認しました。
「心得3ヵ条」には,読み手が誰であるか念頭におくこと・誰にでも共通した普遍的な言葉を用いること・論理的に書くことの3つが挙げられます。論理的な文章を書くためには,情報の抜け落ちがないか,理解しやすい順序で並んでいるか,具体性のある語句で成り立っているか注意する必要があります。
次にCorrect・Clear・Concise・Consistentからなる「4C」では,Perfect Documentの必要条件をひとつひとつ学びました。ここで言うConciseは,余剰表現を避けるという意味も含んでおり,文章を書く上では同様の表現を繰り返すような無駄を省くことが重要です。
ライティングの基礎を学んだあとは,さっそく演習に入りました。今回は全部で25の演習問題が用意されていましたが,興味深いのは,これらがすべて実際にあった事例(実例文)からとられていることです。演習は,セミナー参加者が実例文の不良・不適切であると思われる個所を指摘し,石塚先生にご解説いただく形で進行しました。問題が進むにつれ,さまざまな意見が活発に出されるようになり,時々笑いも起きるなど,大いに盛り上がりました。
自分が普段何げなく書いている文章を振り返ってみると,不正確であったり,まわりくどい表現になっていたり,時系列が前後していたりすることがあるかもしれません。演習を通して,思わずドキッとした方も多かったのではないでしょうか。
最後に,先生から一連の演習を通してのまとめをお話しいただきました。ハイクオリティドキュメントには,演習を通じて学んだ「記載内容が4Cを満たし,完璧に仕上がっていること」に加えて,「見た目の構成がよく,読みやすく仕上がっていること」が求められます。たとえば,行間や余白を詰めないことで視認性の向上につながり,文章の流れを考慮し,話の流れをスムーズに追えるよう工夫することで読みやすさにつながります。
全3時間のセミナーも,演習中心の充実した内容であっという間に感じられた方が多かったようです。セミナー後にいただいたアンケートを拝見しても,「もっと時間がほしかった」「昨年度開催分の内容も受けてみたかった」「次の機会も受けてみたい」とのお声を多数いただきました。また,普段書いている自分自身の文章への気づきがあったとコメントくださった方も多くみられました。今後に関しては,基礎をもっと掘り下げたいという意見,文書種類ごとの詳細な書き方,英語の場合も知りたいなど,皆様の関心の高さがうかがえました。
毎回参加者の皆様から高い評価をいただいているメディカルライティング講座ですが,今回のセミナーを通じて,改めて反響の大きさを実感しました。
(2016年11月吉日)
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