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MMWR抄訳

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2023/03/24Vol. 72 / No. 12

MMWR72(12):297-303
Tuberculosis — United States, 2022

結核 ― アメリカ、2022年

アメリカでは、報告された結核(TB)罹患率は1993年から2019年にかけて徐々に減少し、2019年に人口10万人あたり2.7例に達し、COVID-19パンデミックが発生していた2020年では罹患率は大幅に減少した(人口10万人あたり2.2例)。この減少について提唱されている説には、TB診断の遅れや見落とし、移住や旅行による変化、TB再活性化の影響を受けやすい人の死亡などがある。TB罹患率の格差(人種/民族別など)も述べられている。2021年に、TB罹患率は部分的に戻ったが(人口10万人あたり2.4例)、パンデミック前の数年間より大幅に下回ったままであり、診断の遅れが続いている懸念が生じた。2022年、アメリカ50州とワシントンDCは、暫定的なTB症例8,300例をNational Tuberculosis Surveillance Systemに報告した。TB罹患率は年央人口推定値を使用して計算され、出生地、人種/民族別に層別化された。2022年の人口10万人あたりのTB罹患率は2.5例と2021年に比較しわずかに増加したが、パンデミック前よりも依然として低いたままであった。過去数年と同様に、2022年には、カリフォルニア州でTB症例数が最も多く(1,843例)、アラスカ州でTB罹患率が最も高かった(人口10万人あたり13.1例)。2022年におけるTB症例の73%(出生地が判明している8,248例中6,009例)がアメリカ以外の出生であり(2021年は72%)、人口10万人あたりのTB罹患率は、アメリカ生まれの人では2021年および2022年ともに0.8例であり、アメリカ以外で生まれた人では、2021年の12.6例から2022年には12.8例へとわずかに増加した。2022年のTB罹患率は、アメリカ生まれの2,239例では、非ヒスパニック系ネイティブハワイアン/その他の太平洋諸島民(NH/OPI)で最も高く(6.6例)、次いでアメリカ先住民/アラスカ先住民(4.4例)であった。アメリカ以外で生まれた人の中で2022年のTB罹患率が最も高かったのはNH/OPI(27.8例)次いでアジア人(22.0例)であった。アメリカ以外で生まれたTB感染例のうち、アメリカに最初に到着してから1年未満でTBと診断された割合は、2021年が9.8%出会ったのに対し、2022年では16.5%に増加した。2021年と比較して、2022年では4歳以下と15~24歳の罹患率が最も増加し、65歳以上のみで減少した。HIVの有無が明らかなTB感染者の84.7%のうち、TBとの共感染は2021年が4.3%であったのに対し、2022年は4.7%であった。2021年と比較し、2022年ではTB診断前12カ月以内のホームレス経験者、診断時に刑務所または長期療養施設にいた人の割合が増加した。TB罹患率は、パンデミック前のレベルに戻っているようにみえ、TBの不均衡は持続しており、これらの格差に対処するには、タイムリーなTB診断と感染防止のための治療、潜在性TB感染(LTBI)の治療を介したTB予防が必要とされている。

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