ホームIMICライブラリMMWR抄訳2023年(Vol.72)2022-23年季節性インフルエンザワクチンの有効・・・
MMWR抄訳
2023/02/24Vol. 72 / No. 8
MMWR72(8):201-205
Interim Estimates of 2022–23 Seasonal Influenza Vaccine Effectiveness — Wisconsin, October 2022–February 2023
2022-23年季節性インフルエンザワクチンの有効性に関する中間推定値 ― ウィスコンシン州、2022年10月~2023年2月
アメリカでは、2022-23年インフルエンザの活動性が通常よりも早く始まり、2022年10月に増加し、小児の入院率の高さと関連した。この期間中に検出され、サブタイプが特定されたインフルエンザウイルスのほとんどがA(H3N2)であったが、A(H1N1)pdm09ウイルスも同様に流行していた。特定されたウイルスのほとんどは、2022-23年北半球インフルエンザワクチンに含まれるウイルスと同じ遺伝的サブクレードにあり、抗原的に類似していた。インフルエンザワクチンのワクチン有効性(VE)は、季節、インフルエンザウイルスサブタイプ、流行しているウイルスとの抗原の一致によって異なる。今回の中間報告では、2022年10月23日~2023年2月10日にウィスコンシン州のMarshfield Clinic Health Systemで実施された2つの同時研究のデータを使用し、インフルエンザワクチンのVEを推定した。検査陰性デザインの症例対照研究では、2022年12月2日~2023年2月10日に急性呼吸器疾患(ARI)により受診した生後6カ月~64歳の外来患者の計545例を対象とした。インフルエンザAウイルス検査の結果が陽性であったのが116例(21%)であり、インフルエンザBウイルスの検査結果が陽性であった症例は認めず、インフルエンザとSARS-CoV-2の検査結果が陰性だったのは429例であった。インフルエンザAウイルスのサブタイプは115例(99%)で測定され、29例(25%)がA(H1N1)pdm09ウイルス、86例(75%)がA(H3N2)ウイルスであった。545例中186例(34%)が2022-23年インフルエンザワクチンを接種しており、接種例の大多数(84%)が、細胞培養ベースワクチン(ccIIV4)を接種していた。2022-23年季節性インフルエンザワクチンを接種していたのは、検査結果が陰性であった症例では160例(37%)であったのに対し、インフルエンザ検査結果が陽性であった症例では26例(22%)であった。A型インフルエンザに関連して外来診療をしたARIに対するVEは、年齢、発症月、ハイリスク(慢性疾患など)の有無により調整後、全体では54%、インフルエンザA(H3N2)ウイルスに対しては60%であった。地域のコホート研究は1~17歳の241名を対象とした。そのうち94名(39%)が2022-23年インフルエンザワクチンを接種しており、84%がccIIV4を接種していた。このコホートにおける症候性インフルエンザAウイルス感染に対するVEは71%であった。これらの中間分析では、インフルエンザワクチン接種により、65歳未満の人における受診を要するインフルエンザのリスク、小児および思春期齢における症候性インフルエンザのリスクが大幅に減少したことを示している。毎年のインフルエンザワクチン接種は、インフルエンザとその合併症を予防するために最良の戦略である。インフルエンザウイルスが流行している限り、医療提供者は生後6カ月以上の人に対し、毎年のインフルエンザワクチンの接種を継続することをCDCは推奨している。
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