ホームIMICライブラリMMWR抄訳2021年(Vol.70)オピオイド使用障害および致死的オピオイド過剰摂取の・・・
2021/04/16Vol. 70 / No. 15
MMWR70(15):541-546
State-Level Economic Costs of Opioid Use Disorder and Fatal Opioid Overdose — United States, 2017
アメリカでは2017年に200万人がオピオイド使用障害の診断基準を満たしており、2018年には約47,000人がオピオイド過剰摂取により死亡した。2017年のオピオイド蔓延による経済的コストは1兆210億ドルと推定され、オピオイド使用障害のコストが4,410億ドル、致死的オピオイド過剰摂取のコストが5,500億ドルと推定された。CDCは2017年のオピオイド使用障害および致死的オピオイド過剰摂取のコストを38州およびワシントンDCにおける死亡率データに基づき州別に算出した。合計金額は9億8,500万ドル(ワイオミング州)~725億8,300万ドル(オハイオ州)、1人あたりの合計コストは1.204ドル(ハワイ州)~7,247ドル(ウェストバージニア州)と大幅な差を認めた。1人あたりの合計コストが高い州は主にオハイオバレー地区またはニューイングランド地区の2つの地区にあり、オハイオバレーの近隣のウェストバージニア州、オハイオ州、ケンタッキー州、はそれぞれ1番目、2番目(6,226ドル)、4番目(5,491ドル)に高い州であった。致死的オピオイド過剰摂取にかかる1人あたりのコストはウェストバージニア州(5,298ドル)、オハイオ州(4,252ドル)にて最も高かった。ニューイングランド近隣では、ニューハンプシャー州が3番目に高い州(5,953ドル)、マサチューセッツ州が5番目(5,381ドル)、メイン州が6番目(5,099ドル)、コネチカット州が8番目4,800ドル)であった。一方、1人あたりの合計金額は西部ではカリフォルニア州、ハワイ州、ワイオミング州、中西部ではミネソタ州、南西部ではテキサス州にて低く、ハワイ州(1,204ドル)、ミネソタ州(1,509ドル)にてもっとも低かった。致死的オピオイド過剰摂取の1人あたりのコストはハワイ州(429ドル)、オピオイド使用障害の1人あたりのコストはミネソタ州(635ドル)にて最も低かった。人口が最も多い2州(カリフォルニア州、テキサス州)、人口が最も少ないワイオミング州は1人あたりの合計コストが低かった[カリフォルニア州は3位(1,566ドル)、ワイオミング州は4位(1,701ドル)、テキサス州は5位(1,736ドル)]。QOL低下はオピオイド使用障害のコストに関する最大要素であり、統計上の損失生存は致死的オピオイド過剰摂取のコストに関する最大要素であった。これら2要素を合わせると、合計コストの約84%を占め、次に多いのが生産性低下であった。連邦および州の公衆衛生当局は、研究、予防対策活動、資源の割当などを決定する指針に役立てるために、これらのデータを使用することができる。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.