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MMWR抄訳

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2020/03/13Vol. 69 / No. 10

MMWR69(10):260-264
Investigation of Presumptive HIV Transmission Associated with Hospitalization Using Nucleotide Sequence Analysis — New York, 2017

ヌクレオチド配列分析を利用した入院に関連する推定HIV感染に関する調査 ― ニューヨーク州、2017年

2017年10月、New York City Department of Health and Mental Hygieneおよびニューヨーク州Department of Health(NYSDOH)に、慢性疾患のため最近入院した若年成人男性(患者A)を急性HIV感染症と診断したとの報告が医師からあった。患者Aには感染のリスク因子がなかったため、医療関連HIV感染の可能性が調査され、ヌクレオチド配列分析により、患者Aと入院日が重複するHIV感染者(患者B)が患者Aと類似したHIV株を有することが明らかとなった。医療記録によると、患者Aは2017年7月(HIV診断の99日前)に慢性腎臓病の合併症により病院1に入院し、HIV抗原/抗体迅速検査は陰性であった。10月(診断25日前)に病院1へ再入院し、病院2の外来でIVRによる透析用バスキュラーアクセスが造設され(診断22日前)、同日から病院1にて血液透析が開始された。患者Aは10日後に退院し(診断12日前)、2日後から病院2にて外来血液透析を始めたが(診断10日前)、発熱、咽頭痛、悪心、嘔吐、下痢が5日続き、病院1に再入院した。翌日、急性HIV感染症と確定診断された。検出可能な抗原および検出可能な抗体を認めないHIV-1ウイルスの所見から急性HIV感染が示唆され、10~22日前に感染したと考えられた[病院1への入院時(22日前)~外来での透析開始時(10日前)]。患者Aに抗レトロウイルス療法は行われず、HIV診断から66日後、慢性腎臓病関連の合併症により死亡した。NYSDOHは病院1の入院病棟および血液透析室、病院2の放射線科および外来透析室にて患者Aと同時期に治療を受けた計232例を特定し、NYSDOH HIV登録データと照合し、HIV感染症と診断されていた10例を特定した。うち3例は病院1の入院病棟に患者Aと1日以上、入院期間が重複し、5例は患者Aと同じ外来透析室にて透析を受け、2例は病院1で入院血液透析を受けていた。10例中9例でHIVウイルス抑制は維持されていたが(HIV RNA量200copies/mL未満)、数十年前にHIV感染症と診断されていた患者Bは2017年春から秋にかけてHIVウイルス量が増加しており、病院1にて抗レトロウイルス薬が投与されていたが、2017年11月に死亡した。患者Aと患者BのHIV-1ポリメラーゼ配列は98%超のヌクレオチド同一性を示し、患者Aと2017年の患者Bの配列は99%を超える同一性であり、この2例は病院1の同じ入院病棟での入院時期が25時間重なり、同じ血液透析室で透析を受けていたが、同じ日に透析を受けてはおらず、また、同じ装置を使用することもなかった。NYSDOHによる調査では、病院1の入院病棟および血液透析室、病院2の放射線科での直接的な感染対策の過失はなく、病院1の薬局では両方の患者に処方された薬剤は事前充填済みであった。さらに2名の社会的接触は不明で、両者間での感染機序は確定できなかった。これを受け、病院は36例の生存患者に対し、HIV感染の可能性について通知し、HIVとともにB型肝炎およびC型肝炎の無料検査も実施されたが、B型肝炎およびC型肝炎の感染例はなかった。追加症例について調査はまだ継続中である。以上、ヌクレオチド配列分析はHIVクラスター検出および医療ケア関連HIV感染の識別に使用しうることが示された。

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