ホームIMICライブラリMMWR抄訳2014年(Vol.63)ポリオ撲滅への進歩 ― アフガニスタンおよびパキス・・・
2014/10/31Vol. 63 / No. 43
MMWR63(43): 973-977
Progress Toward Poliomyelitis Eradication — Afghanistan and Pakistan, January 2013–August 2014
アフガニスタンとパキスタンは依然として野生株ポリオウイルス(WPV)の伝播を認める3カ国のうちの2カ国である(もう1カ国はナイジェリア)。ここでは2013年1月~2014年8月における両国のポリオ撲滅への活動とその進歩について報告する。2013年における乳児の経口ポリオウイルスワクチン(OPV)3回接種率(OPV3)はアフガニスタンにて71%、パキスタンにて72%であり、6~23カ月齢の非ポリオ急性弛緩性麻痺(AFP)乳幼児におけるOPV3はアフガニスタンにて66%(南部:30%、南東部:80%、東部:75%)、パキスタンにて71%[連邦直轄部族地域(FATA):25%、バローチスタン州:37%、シンド州:64%、カイバルパクトゥンクワ州(KP):68%、パンジャブ州:86%]であった。追加予防接種活動はこの期間アフガニスタンにて26回(全国的:7回、地域的:6回、短期追加接種運動:13回)、パキスタンにて26回(全国的:7、地域的:9、短期追加接種運動:10回)行われ、さらに2012年6月以降ワクチン接種活動が禁じられていた北ワジリスタンにおいて、軍事活動からの難民を対象とした一時接種所が設置され(パキスタンでは2013年:345カ所、2014年:668カ所)、5歳未満の幼児とともに5歳以上の小児および成人に対し接種が行われた。AFPサーベイランスでは2013年における非ポリオAFPの15歳未満における発症率はアフガニスタンにて10万人あたり10.0、パキスタンでは5.9であり、検体収集率はそれぞれ93%、89%であった。アフガニスタンでは2013年より下水サンプリングが開始され、2014年7月にカンダハール州およびナンガルハール州にて採取された検体から1型WPV(WPV1)が検出された。パキスタンでは2013年1月~2014年8月にて30カ所から551の下水検体が採取され、2014年にて33%(77/230)がWPV1陽性を示し[2013年:16%(36/227)]、2014年3月および4月にカラチのガダップタウンで採取された検体から循環型ワクチン由来ポリオウイルス2型(cVDPV2)が検出されている。また、17例(74%)はパキスタンからの輸入例であった。パキスタンにおけるWPV1症例は2013年:93例(2012年:58例)、2014年1~8月:170例(前年同時期:33例)であり、計263例のうち245例(93%)は36カ月齢未満の幼児であり、164例(67%)はOPVを受けておらず、33例(14%)が1~3回、48例(20%)が4回以上の接種を受けていた。2013年のパキスタンにおけるWPV1の発症地域は16/157地区(10%)であり、263例のうち69%がFATA、16%がKPからの報告であった。また、cVDPV2は70例であり、うち81%は北ワジリスタンから報告された。この2カ国の国境付近では依然としてワクチン接種率が低く、WPV1およびcVDPV2の発症が多く認められるため、両国の協力によるサーベイランスおよびワクチン接種活動の強化が急がれる。
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