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ホームIMICライブラリMMWR抄訳2010年(Vol.59)世界的な定期予防接種の接種率、2009年

MMWR抄訳

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2010/10/29Vol. 59 / No. 42

MMWR59(42):1367-1371
Global Routine Vaccination Coverage, 2009

世界的な定期予防接種の接種率、2009年

予防接種の拡大により世界中の健康状態は改善し、毎年数百万人の小児の入院と死亡が予防されている。小児への予防接種は、B型肝炎(HepB)ウイルス関連慢性肝疾患・肝癌やヒトパピローマウイルス関連子宮頸癌の予防を通して成人の死亡を予防する目的もある。WHOがExpanded Programme on Immunizationを開始した1974年、世界中の小児における生後1年間のBCG、ジフテリア-破傷風-百日咳(DTP)ワクチン、経口ポリオウイルスワクチン、麻疹含有ワクチン(MCV)の完全接種率は<5%であったが、その後の予防接種率の増加により罹病率と死亡率はかなり低下した。WHOと UNICEFが作成したGlobal Immunization Vision and Strategy(GIVS)は、2010年までに全ての国々で生後12ヶ月までのDTP3回(DTP3)接種率が全国レベルで90%、全ての地域レベルで80%に到達することと、これらレベルを2015年まで維持することを目標としている。この報告は定期予防接種の接種率の評価法と2000~2009年の全世界の定期予防接種の接種率、GIVS目標に向けた進展をまとめたものである。WHO加盟193ヶ国における推定DTP3接種率は2000年の74% から2009年には82%に増加した。接種率の変化にはかなりの地域差があり、全体的な接種率改善にはWHO管轄地域のうち主にアフリカ地域 (+16%)、東地中海地域(+12%)、西太平洋地域(+10%)が貢献していた。全国的なDTP3接種率90%以上の到達は122ヶ国(63%)で報告されたが、全ての地域での接種率80%以上の到達が報告されたのは48ヶ国(25%)のみであった。また149ヶ国(77%)は2007~2009年に DTP3接種率80%以上を維持した。その一方で、36ヶ国(19%)は2009年の接種率が<80%、6ヶ国は<50%であり、低所得国のうち2015 年までの接種率90%到達に向けて進展しているのは55%のみであった。さらに2009年には生後1年間にDTP3回接種を受けていない小児が世界中で約 2,300万人存在し、その約半数はインド(37%)とナイジェリア(14%)の小児であった。今後10年間の課題は、既存のワクチンのための資金提供を確実に継続することと、肺炎と下痢を防ぐことにより小児の罹病率と死亡率を低下させる可能性のある新規ワクチン(b型インフルエンザ菌[Hib]ワクチン、結合型肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチン)の導入である。GIVSの目標達成のためには、全ての国々で予防接種システムを強化し効果的な戦略を優先的に実施することが重要である。

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