ホームIMICライブラリMMWR抄訳2009年(Vol.58)体験型動物園でのデイキャンプに関連した志賀毒素産生・・・
2009/05/01Vol. 58 / No. 16
MMWR58(16):426-428
Outbreak of Shiga Toxin-Producing Escherichia coliO157 Infection Associated with a Day Camp Petting Zoo - Pinellas County, Florida, May-June 2007
2007 年6月7日、フロリダ州のPinellas County Health Departmentは9歳の小児において志賀毒素産生大腸菌O157(STEC O157)感染が検査で確認されたという報告を受けた。初回インタビューで、小児は1週間デイキャンプに参加し、体験型動物園で動物に接触していることが明らかになった。6月8日、Pinellas County Health Departmentは調査を開始した。この報告は、その調査結果をまとめたものである。デイキャンプでは5月21日~8月17日に1週間のセッションが 13回実施され、各セッションあたり2~8年生の小児45名が参加していた。体験型動物園は面積2,250平方フィートの囲いの中にヤギ28匹、ヒツジ1 匹、ラマ1匹が放し飼いになっていた。小児は毎日スナックや昼食を持参して、建物内で食べていた。キャンパーとスタッフメンバーは1ヶ所しかない出入り口を通って動物に餌を与え、動物と接触していた。手洗い施設の設備などは公共の場で動物と接触する場合の感染防御ガイドラインであるNational Association of State Public Health Veterinarians(NASPHV)ガイドラインを遵守していたが、キャンパーは適切な手洗い法の指導を受けておらず、スタッフメンバーは手洗い動作を観察できるほど近くにいなかった。さらなるSTEC O157感染例を同定するため、最初の3セッション(5月21日~25日、5月28日~6月1日、6月4日~8日)に参加した7~13歳の小児135名中 117名(87%)とキャンプスタッフ10名を対象として調査を行った。5月25日~6月12日に下痢あるいは他の3症状(腹部痙攣、嘔気、嘔吐)が発現した場合をSTEC O157感染症の疑い例、検査で感染が確認された場合を確定例とし、そのうちデイキャンプ参加者を一次感染例、デイキャンプに参加していないが一次感染例と疫学的に関連のある症例を二次感染例とした。調査の結果、さらに6例で感染を確認した。全7例のSTEC O157感染症例のうち4例は一次感染確定例(7歳、9歳、9歳、12歳)、2例は一次感染疑い例(8歳、10歳)、1例は二次感染確定例(一次感染例の 3歳の弟)であった。2例が入院し、全例が回復した。発症日は5月29日~6月11日で、症状は血便を伴った下痢(4例)、血便を伴わない下痢(3例)、腹部痙攣(4例)、嘔気(2例)、嘔吐(2例)、発熱(2例)であった。7例中5例および体験型動物園の動物30匹より採取した便検体と土壌4検体について細菌学的検査を行った。ヒト4例、ヤギ9匹、全ての土壌検体より分離された大腸菌O157(非運動性)株は同一のパルスフィールドゲル電気泳動 (PFGE)パターンを示した。Pinellas County Health Departmentは調査初日(6月8日)に体験型動物園を閉鎖するよう勧告し、動物たちは隔離された。その後、さらなる大腸菌O-157感染症例は報告されていない。体験型動物園の管理者は、動物との接触による感染リスク低下に有用と思われるNASPHV感染防御ガイドラインを遵守するべきである。
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