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MMWR抄訳

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2008/02/22Vol. 57 / No. 7

MMWR57(7):173-175
Emergence of Fluoroquinolone- Resistant Neisseria meningitidis - Minnesota and North Dakota, 2007-2008

フルオロキノロン耐性Neisseria meningitidesの発現-ミネソタおよびノースダコタ、2007~2008年

髄膜炎菌疾患の罹患率と死亡率はかなり高い。Neisseria meningitidesの鼻咽頭保菌は疾患の前兆であるが、保菌者の多くは疾患を発症しない。髄膜炎菌疾患患者の家族や他の密接な接触者は保菌(侵襲性疾患発症)リスクが高いため、できるだけ早く抗生物質による化学的予防を受けN.meningitidisの鼻咽頭保菌を除去する必要がある。第二世代フルオロキノロンであるシプロフロキサシンは効果的な単回経口化学的予防薬である。シプロフロキサシン耐性髄膜炎菌の発現はアルゼンチン、オーストラリア、中国、フランス、インド、スペインで報告されているが、北アメリカでは報告がなかった。この報告では2007年1月‐2008年1月にノースダコタ州とミネソタ州で発生したフルオロキノロン耐性髄膜炎菌疾患3例を紹介する。2006年8月、ノースダコタ州東部にある保育所の職員が発熱、皮疹、頭痛、腹痛を発症し、その後急激に臨床状態が悪化して入院初日に死亡した。剖検にて脳脊髄液(CSF)のPCR反応はB群N.meningitidis陽性を示した。gyrA遺伝子のDNA配列にはフルオロキノロン耐性と関連する変異はみられず、フルオロキノロン感受性菌と一致した。同保育所の小児の大部分はリファンピン、スタッフはシプロフロキサシンの予防的投与を受けた。2007年1月、死亡した職員と同じ部屋におりリファンピン予防投与を受けた小児1例(症例1)が髄膜炎を発症し、セフトリアキソンによる治療を受け回復した。CSF検体からB群N.meningitidisが分離され、この分離菌株はシプロフロキサシン耐性であることが明らかになった。この分離菌株ではフルオロキノロン耐性との関連が認められているgyrA遺伝子の変異がみられたが、それ以外の分子学的特徴は死亡職員由来菌株とで同様であった。さらに2008年1月7日にはミネソタ州西部に住む成人、2008年1月24日にはミネソタ州西部に住む大学生が髄膜炎菌疾患を発症した(前例は死亡、後例は回復)。これら2例よりCSF培養にて分離されたB群N.meningitidis 株は、症例1由来分離菌株と同じ抗生物質感受性、多局性配列タイピング(MLST)・パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)パターン、gyrA遺伝子変異を示した。これは、北アメリカで初めてのシプロフロキサシン耐性髄膜炎菌疾患の報告である。さらなる通告が出されるまで、ノースダコタとミネソタの一部地域ではシプロフロキサシンを髄膜炎疾患患者接触者の化学的予防に使用するべきではない。代替薬としてはセフトリアキソン、リファンピン、アジスロマイシンがある。

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