ホームIMICライブラリMMWR抄訳2007年(Vol.56)注射器交換プログラム-米国、2005年
2007/11/09Vol. 56 / No. 44
MMWR56(44):1164-1167
Syringe Exchange Programs - United States, 2005
注射器交換プログラム(SEP)は、静注薬使用者(IDU)間での血液を介した病原体(HIV、B型・C型肝炎ウイルスなど)の伝播を減少させるため、使用済み注射器と引き換えに殺菌した注射器を無料で提供するものである。National Institute on Drug Abuseは、静注薬使用者に毎回新たな殺菌注射器を使用することを勧めている。注射器交換活動のモニタリングは、米国におけるHIV予防対策の評価に重要である。2007年11月現在、36州およびワシントンDC、プエルトリコで185のSEPが行われている。この報告は、米国における2005年のSEP活動の調査結果の概要を紹介し、その結果を過去の調査結果と比較したものである。2006年3月、Beth Israel Medical Center(BIMC)とNorth American Syringe Exchange Network(NASEN)はその時点でNASENに登録されていた全SEP(166プログラム)を対象とし、2005年中に交換した注射器の数、提供したサービス、予算および資金について調査を行った。166SEP中、118SEP(71%)が調査を完了した。これら118SEPは28州/準州およびワシントンDCの91の市で実施されていた。全体として、2005年のSEPのための公的資金(2004年:950万ドル、2005年1130万ドル)、プログラム全体の総予算(2004年:1350万ドル、2005年:1520万ドル)は2004年に比べ増加したが、SEPの実施数(2004年:174、2005年:166)と交換された注射器(2004年:2400万個、2005年:2250万個)は若干減少した。SEPによる注射器交換以外のサービスとしてはアルコールパッドの提供(117SEP:99%)、男性用コンドーム提供(115SEP:97%)、女性用コンドーム提供(98SEP:83%)、薬物乱用治療法の紹介(102SEP:86%)の他、HIV・C型肝炎のカウンセリング・検査(それぞれ96SEP[81%]、66SEP[56%])、B型・A型肝炎ワクチン接種(それぞれ46SEP[39%]、43SEP[37%])なども行われていた。これらのサービス拡大は、IUDおよび彼らのコミュニティーにおける血液を介した病原体の伝播拡大を防ぎ、ハイリスク集団の保健サービスへの受診機会を与えている。今後も注射器交換活動のモニタリングを続ける必要がある。
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