ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)ハリケーン・カトリーナ後の疾病サーベイランス-アー・・・
2006/07/07Vol. 55 / No. 26
MMWR55(26): 727-731
Morbidity Surveillance After Hurricane Katrina - Arkansas, Louisiana, Mississippi, and Texas, September 2005
ハリケーン・カトリーナは、2005年8月29日、米国のメキシコ湾沿岸に上陸した。何千人にも及ぶ湾岸住民は、30州とコロンビア特別区(DC)のホテルや民家、避難所に避難した。公衆衛生に関わる緊急時対応要員にとっての任務は、被災者、特に医療を受けられない人や混雑した状況で暮らす人々のハリケーンによる発症や死亡を確認し予防することである。この報告は、ハリケーン・カトリーナ上陸後の全国サーベイランス実施の挑戦について要約し、さらにサーベイランスを調整し、様々な手段を使って管轄区から疾病データを統合し、解析したCDCの役割に焦点を当てている。2005年9月1日から22日(9月24日のハリケーン・リタのメキシコ湾沿岸上陸前)に、アーカンソー州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、テキサス州を通じてCDCへ報告された全疾病データは、これらの州における被災者の避難所や医療施設から提出された。慢性疾患と傷害は、避難所と医療施設より報告された最も一般的な症状であった。広範囲な打撃を伴う将来の大規模災害に対してより十分に備えるために、保健局や協力機関は疾病サーベイランスのための標準指針や方法を確立するよう活発に取り組んでいる。指針は、災害発生を認識し、衛生上の問題を監視するために、災害対応時における複数管轄区や公的私的機関の保健情報の説明や交換を促進すると考えられる。ハリケーン・カトリーナ上陸後、州と地方保健局の協力により、CDCは避難所と医療施設における毎日の全疾病サーベイランスデータを報告する指針と形式を展開し、普及させた。このサーベイランスは、感染症、精神医学疾患、傷害、慢性疾患のような症状に対する分類が含まれた。さらに、個人レベルのデータを記録するための記入用紙が配布された。CDCは、12州から全疾病サーベイランスデータを受取ったが、この報告には病気に冒された被災者に関して定期的に報告される4州(アーカンソー州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、テキサス州)からのデータも表示されている。州の疾病データ報告は、調査中の数、状況の特殊性によって異なった。9月1日から22日に慢性疾患(糖尿病、喘息、肺気腫、心臓疾患)は医療施設の中で最も多かったが、9月9日の651回の医療訪問(4州において)をピークとし、分析に含まれる合計14,531回のうち、31%(4,786回)を占めた。胃腸障害は次に多い報告であり、27%(3,892回)で、9月5日から10日に避難所のピークとなった。傷害や精神疾患の医療訪問は9月1日から22日にそれぞれ医療訪問合計の6%以下であった。
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