ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)フランチャイズレストランに関連した多地域でのノロウ・・・
2006/04/14Vol. 55 / No. 14
MMWR55(14):395-397
Multisite Outbreak of Norovirus Associated with a Franchise Restaurant - Kent County, Michigan, May 2005
アメリカにおいて食品媒介性胃腸炎の病因はノロウイルスによるものが多い。この報告では、Kent County Health Department(KCHD)が調査した2005年5月3日-9日に発生した3件のノロウイルスのアウトブレイクと一般市民の発症例に関してまとめた。KCHDは5月5日から6日にかけて、学校の昼食会(5月3日実施)参加者および某出版会社の昼食会(5月5日実施)参加者における胃腸炎のアウトブレイクの報告を受けた。2件とも昼食会には同じ全国的なフランチャイズレストランより宅配されたサンドイッチが出されており、学校職員29名中23名(80%)、出版会社スタッフ95名中55名(58%)が下痢や嘔吐などを発症した。学校職員6名、会社スタッフ2名より採取された便検体中それぞれ6検体、1検体がPCR法にてノロウイルス陽性であった。KCHDは他のアウトブレイクについて確認するため、このレストランの宅配記録を調査した。その結果、5月4日に行われたある福祉団体の昼食会でこのレストランのサンドイッチが出されており、その参加者18名中9名(50%)が同様の症状を発症していたことが明らかになった。採取された2名の便検体はノロウイルス陽性であった。さらに一般市民の調査にて28例で同様の症状発現が確認され(発症日5月4日-9日)、そのうち25名(90%)は同じレストランのサンドイッチを食べた後に発症していた。採取された3名の便検体はノロウイルス陽性であった。疫学調査の結果、5月2日にこのレストランの食品調理者が子供から感染したと思われる嘔吐と下痢を発症していることが明らかになった。この調理者は5月3日の早朝には嘔吐症状がみられなくなったため、その朝から職場に復帰した。5月10日に採取した便検体は5月16日にノロウイルス陽性と確認された。分離ウイルス株の配列分析にて、この調理者と胃腸炎発症者29例より分離されたウイルス株は同じものであった。5月10日にこのレストランは一時閉鎖され、5月17日に専門業者が完全に汚染を除去した後、再開された。
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