ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)ヒト狂犬病-ミシシッピ州、2005年
2006/03/03Vol. 55 / No. 8
MMWR55(8):207-208
Human Rabies - Mississippi, 2005
この報告は、狂犬病により脳炎を発症して死亡した10歳男児の臨床経過とその後の疫学的調査結果をまとめたものである。この男児は2005年9月11日に発熱と頭痛が発現した。その後症状が悪化し、9月15日には発熱、不眠、尿意促迫、右側頭皮および右腕の感覚異常、嚥下障害、見当識障害、運動失調といった症状を示したため、脳炎の疑いで入院した。入院してまもなく患者の神経学的状態は急激に悪化し、9月27日に死亡した。本症例は確定診断のためCDCのUnexplained Deaths Project(UNEX)に照会された。10月5日、CDCは9月16日と21日に採取された血清検体中の狂犬病ウイルス特異的IgG抗体価の上昇に基づき、狂犬病と診断した。患者の自宅近くでコウモリが目撃されていること、2005年の夏に自宅とガレージでコウモリの死体が発見されていること、患者は2005年春に生きているコウモリを自分の寝室から屋外へ放してやった経験があることなどから、狂犬病の感染源としてコウモリの曝露が関与している可能性があると考えた。8月28日(狂犬病の臨床徴候発現の14日前)から患者が死亡した9月27日までに患者の唾液に接触した可能性のある家族および友人23名と患者の体液に曝露した可能性のある医療従事者32名に対して曝露後予防を行った。コウモリや他の野生動物との直接接触による狂犬病リスクを認識することは重要であり、曝露した場合には迅速に医療機関を受診すべきである。
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