ホームIMICライブラリMMWR抄訳2005年(Vol.54)低体温症による死亡-アメリカ,2003~2004年
2005/02/25Vol. 54 / No. 7
MMWR54(7):173-175
Hypothermia-Related Deaths - United States, 2003-2004
低体温症(身体核心温度の35.0℃未満への低下)は予防可能な医学的緊急事態であり、通常は適切な防寒着を着用せず長時間低温に曝露された場合に起こる。低体温症の注意すべき徴候・症状としては眠気、脱力感、錯乱、呼吸数や心拍数の低下などがあり、危険因子としては高齢、薬物乱用、精神状態変化などがある。この報告では、2003―2004年にアメリカで発生した低体温症関連死3例を紹介する。また1979―2002年に発生した低体温症関連死の概要、低体温症の危険因子および症状について述べ、低体温症関連損傷および死亡を防ぐための方法をレビューする。2004年3月、バーモント州において痴呆の69歳男性が自宅近くの裏庭で死体となって発見された。この症例は2003年12月から行方不明となっており、当時の外気温が-26―14℃であったことより、痴呆が関与した低体温症による死亡と報告された。また2004年2月、ニューメキシコ州で死体となって発見された16歳男性は、アルコールおよびマリファナ中毒と寒さへの曝露(外気温:-12―6℃)が原因と確認された。2004年2月にアラスカ州で死体となって発見された18歳男性は、死因としてアルコール中毒と低体温症(外気温:4―7℃)が考えられた。1979―2002年、アメリカでは16,555例が過度の寒冷への曝露により死亡した(平均689例/年)。年死亡率は1990年以前が最も高く(0.3―0.4/10万人)、1991年以降は2000年に0.3に増加した以外、0.2まで減少した。2002年の低体温症関連死亡者数は646例であり、死亡例の66%は男性、52%は65歳以上、45%は白人男性で、2002年の州別死亡率はアラスカ州(3.0)、ニューメキシコ州(0.9)、ノースダコタ州(0.9)、モンタナ州(0.8)が最も高かった。また温暖気候であるが気温の急激な変化がみられる州(ノースカロライナ州、サウスカロライナ州など)や標高が高く夜間の気温の変化が激しい州(アリゾナ州など)でも低体温症による死亡例が報告されていた。過度の寒冷への曝露リスクの高い人々を対象とした公衆衛生戦略は、低体温症関連罹病率と死亡率の低下に有用である可能性がある。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.