ホームIMICライブラリMMWR抄訳2002年(Vol.51)ヒト狂犬病-カリフォルニア,2002年
2002/08/09Vol. 51 / No. 31
MMWR51(31) : 686-688,2002
Human Rabies - California, 2002
2002年3月31日、カリフォルニア州グレン郡に住む28歳の男性がMexican free-tailed bat(Tadarida brasiliensis)に関連した狂犬病ウイルスにより脳炎を発症して死亡した。この男性は3月18日、頭痛、顎痛、光恐怖、興奮、めまい、麻痺、悪心、嘔吐を主訴として医療施設の救急治療部(ED)を受診した。脱水治療と鎮痛薬の投与を受け退院したが、症状が悪化したため翌日EDに戻り、セフトリアキソンによる治療が開始された。その後患者の状態は迅速に進行する脳障害症状を呈して悪化し続け、27日には昏睡状態となり、31日に死亡した。3月29日、角膜圧痕(corneal impressions)サンプルが狂犬病ウイルス特異抗原陽性、唾液サンプルが狂犬病ウイルスRNA陽性であることが明らかになった。4月1日、RT-PCR法にて唾液サンプルが陽性であったことより、狂犬病と確定診断された。遺伝子配列分析にて、ウイルスはMexican free-tailed batに関連した変種と確認された。剖検にて得られた脳組織の病理学的所見の特徴は、狂犬病ウイルス脳炎の診断と一致した。患者の家族は、彼が3月10日に自宅でコウモリを殺したこと、家の近くには多数のコウモリがいることを報告した。3月31日に彼の家の中で発見されたコウモリはMexican free-tailed batと確認されたが、狂犬病ウイルス陰性であった。患者と接触した家族や医療従事者など46人が曝露後予防処置を受けた。野生動物の異常行動を観察した者はすぐに動物コントロールあるいは動物レスキュー機関に連絡するべきであり、それら動物に近づいたり触れたりすることは避けるべきである。
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