ホームIMICライブラリMMWR抄訳2016年(Vol.65)携帯電話を使用した予防接種キャンペーン実績のリアル・・・
2016/10/07Vol. 65 / No. 39
MMWR65(39):1072-1076
Real-Time Monitoring of Vaccination Campaign Performance Using Mobile Phones — Nepal, 2016
2012年に、Global Vaccine Action Planは2020年までに6つのWHO地域の5つにおいて麻疹および風疹の根絶を達成する目標を確立した。麻疹根絶戦略は通常の接種率が低い、または高リスクの亜集団が存在する状況において、通常の麻疹含有ワクチン2回接種率95%以上を達成と追加予防接種活動(SIA)の実践を目標としている。SIA品質を確保し、全国的なSIA接種率95%以上を達成するために、迅速で簡易なモニタリング(RCM)がSIA期間中または直後に使用されている。RCMの目的は、ワクチン接種を受けていない小児の発見および高リスクの人がいる地域におけるワクチンの未接種の理由の特定で、是正措置(例えば、ワクチン接種が十分でない地域へのチームの再配置、ワクチン接種のタイミングの修正、接種活動の総仕上げの実施)を迅速に実践できるようにすることである。今回、2016年のネパールにおいて、SIAの第2フェーズ間に携帯電話を使用したRCM(RCM-MP)のパイロット試験を報告する。紙ベースのRCMを使用した2016年2月のキャンペーンの第2フェーズには33行政区すべてが含まれたが、ネパール保健省およびWHOは予防接種サービスの供給および地理的条件の異なる10行政区をRCM-MPのパイロット試験として選択した。したがって、この10行政区では、RCMを書面または携帯電話を使用して実施された村開発委員会(Village Development Committee、VDC)が混在した。RCM-MPでは、データ収集書式は電子的データ収集ツールに組み込まれ、Android phoneに搭載された。各行政区において、携帯電話を使用した10名のモニターがそれぞれ2つのVDCを担当し、合計で、100名のモニターが196のVDCの377回の訪問において、11,093名の小児に関するRCM-MPデータを収集した。追跡した小児のうち、10,583例(95%)は予防接種を受け、377の訪問した地域のうち159地域(42%)は、是正措置が必要であった。311のワクチン接種が不完全な家庭では、未接種の主な理由は、SIA期間の子供の不在また接種拒否で、接種拒否の主な理由は子供の病気であった。SIA完了後6カ月では、紙ベースのRCMを使用した行政区からの中心レベルでのRCM報告はなかった。一方、RCM-MPを実施したVDCの98%(200のVDCのうち196のVDC)では期待される報告の94%(400回の訪問のうち377回)が受け取られ、このうち87%(377回の訪問のうち328回)はデータ採取日と同日に報告された。RCM-MPの課題には、携帯電話ネットワークへの接続、電話機の画面の小ささ、GPSとの連携の獲得は挙げられる。それにもかかわらず、RCM-MPの使用は迅速なデータ送信、分析、意思決定につながり、保健システムにおける説明責任の向上をもたらすと考えられる。
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