ホームIMICライブラリMMWR抄訳2016年(Vol.65)インフルエンザ活性 ― アメリカ、2015-16年・・・
2016/06/10Vol. 65 / No. 22
MMWR65(22):567-575
Influenza Activity — United States, 2015–16 Season and Composition of the 2016–17 Influenza Vaccine
2015-16年期(2015年10月4日~2016年5月21日)のアメリカにおけるインフルエンザ活性および推奨される2015-16年北半球インフルエンザワクチン組成を報告する。この期間、アメリカではWHO公衆衛生研究所にて68,886検体が検査され、うち26,538検体がインフルエンザウイルス陽性であり(A型ウイルス:18,781検体、B型ウイルス:7,757検体)、A型18,437検体のサブタイプ分析では、A(H1N1)pdm09が14,877検体(80.7%)、A(H3N2)が3,560検体(19.3%)であり、B型の系統は4,912検体のうち3,367(68.5%)がB/Yamagata系、1,545(31.5%)がB/Victoria系であった。また、National Respiratory and Enteric Virus Surveillance Systemの臨床研究室では639,456検体が検査され、うち64,921検体(10.2%)がインフルエンザ陽性であった(A型:44,201検体、B型:20,720検体)。インフルエンザ活性のピークは検体の陽性率から2016年3月12日が週末にあたる週(surveillance week10)であった(陽性率:23.7%)。公衆衛生研究所にて検体が陽性であった症例のうち23,338例にて年齢が報告され、0~4歳:2,657例(11.4%)、5~24歳:7,062例(30.3%)、25~64歳:9,969例(42.7%)、65歳以上:3,650例(15.6%)であった。新しいA型ウイルス感染は3例報告され、A(H1N1)変異型ウイルス感染はミネソタ州にて2015年12月12日が週末にあたる週、A(H3N2)変異型ウイルス感染はニュージャージー州にて2016年1月2日が週末にあたる週に報告され、2例ともブタと直接の接触はなかったが、前者はブタを飼う家の近くに住み、後者はブタのいる農場を訪れていた。A(H1N2)変異型ウイルス感染はミネソタ州にて2016年5月7日が週末にあたる週に報告され、この症例は入院したが完治している。抗原性の分析ではA(H1N1)pdm09は997検体中996検体がA/California/7/2009、A(H3N2)は625検体すべてがA/Switzerland/9715293/2013に類似し、B型はB/Yamagata系の548検体はすべてがB/Phuket/3073/2013に、B/Victoria系の446検体は439検体(98.4%)がB/Brisbane/60/2008に類似していた。感受性検査ではB型(1,188検体)およびA(H3N2)( 658検体)はすべて、オセルタミビル、ザナミビルおよびペラミビルに感受性を示し、A(H1N1)pdm09は2,193検体中18検体(0.8%)がザナミビル、ペラミビル耐性を示し、ザナミビルに対しは1,127検体すべてが感受性を示した。ILINetによるインフルエンザ様疾患(ILI)による外来受診者は2015年12月26日が週末にあたる週(week51)より17週間、全国基準値(2.1%)を上回り、ピークは2016年3月12日の週(week10)の3.6%であった。州別の活性分布も3月12日の週(week10)にてもっとも広く、41州にて活性が報告された。FluSurv-NETデータによるインフルエンザによる累積入院者は8,646例であり、年齢別入院率(/10万人)は0~4歳が41.8、5~17歳が9.7、18~49歳が16.8、50~64歳が45.2、65歳以上が84.8であった。肺炎およびインフルエンザ様疾患関連死亡率は2016年1月2日が週末にあたる週~1月16日までの3週間(week52~week2)にて流行閾値を超え、ピーク値は2016年3月19日が週末にあたる週(week11)にて7.9%であった。また、小児の死亡は74例(平均年齢:7.0歳、中央値:6.0歳)であり、A(H1N1)pdm09:29例、A(H3N2):3例、A型(サブタイプ不明):17、B型:23例、不明:2例であった。なお、FDAは2016-17年期のワクチン成分としてA/California/7/2009(H1N1)pdm09様ウイルス、A/Hong Kong/4801/2014(H3N2)様ウイルスおよびB/Brisbane/60/2008様ウイルスを推奨している。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.