ホームIMICライブラリMMWR抄訳2016年(Vol.65)男性の成人向け映画出演者における職業的なHIV感染・・・
2016/02/12Vol. 65 / No. 5
MMWR65(5): 110-114
Occupational HIV Transmission Among Male Adult Film Performers — Multiple States, 2014
2014年に、カリフォルニア州の公衆衛生部門は地域の衛生局から急性ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染および直腸淋病と診断された25歳男性(患者A)の報告を受けた。患者Aは成人向け映画出演者で、検査時に急性レトロウイルス症候群を思わせる6日間の発疹、発熱、咽頭痛があった。患者Aは検査後6日に、HIVおよび淋病試験結果の陽性を知らされた。患者Aは、症状が発現する10日前にHIV-1 RNA定量的核酸増幅テスト(NAAT)を受け、結果は陰性であった。NAAT陰性とHIV陽性の試験結果を知らされる間の22日間に、患者は2つの映画制作会社から合計で12名の男性出演者とコンドームなしの性交をするように指示された。また、患者Aは症状発現の前後1カ月間の仕事に関係のない性交渉のパートナーの連絡先を提供し、その他に、この期間の所在不明のパートナーの情報を提供した。患者およびインタビューを実施した性交渉のパートナーからの、HIV曝露前予防薬(PrEP)服用の報告はなかった。初めの制作会社では、患者Aの仕事に関連した性的接触者(接触者1~6) 間では、接触者1および2は撮影後62日および53日にNAAT陰性が確認され、また、接触者3~6はウイルス量検出不能レベルの慢性感染者であることが患者Aに報告されていた。2番目の制作会社における患者Aの仕事に関連した性的接触者間では、接触者7が撮影終了後4日に急性レトロウイルス症候群を疑わせる症状を発症し、急性HIV感染と診断された(患者B)。他の接触者8~12の撮影後のHIV NAATは陰性で、患者BのHIV-1/2抗体はその)後、陰性になった。また、仕事に関係のない性交渉のパートナー(接触者13~17)のうち、接触者13(患者C)は患者Aとの性的接触後5日にはHIV NAATは陰性であったが、直腸クラミジアおよび潜伏梅毒が発見され、その後急性HIV感染と診断された。また、患者AがNATT陰性の診断を受ける6日前に接触した接触者16(患者D)は咽頭クラミジアの診断および以前の認識されていない慢性HIV感染があり、患者Aの感染源の可能性が考えられた。遺伝子解析から、患者A、B、C、DのHIVシーケンスは高度に遺伝的に関係があることが示された。以上より、患者DからHIVに感染した患者Aは、感染の自覚のない時期に他の二人に感染させたことが示唆された。成人向け映画出演者、制作会社関係者、すべてのHIVリスクのある人は、HIV感染の予防には試験だけでは不十分であり、HIVおよび性感染症をさらに予防するためのコンドームの使用が必要であることに留意し、医療関係者とPrEPの使用についても話し合うべきである。
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