ホームIMICライブラリMMWR抄訳2016年(Vol.65)アメリカにおける塩分過剰摂取の蔓延 ― NHANE・・・
2016/01/08Vol. 64 / No. 52
MMWR64(52):1393-1397
Prevalence of Excess Sodium Intake in the United States — NHANES, 2009–2012
アメリカの成人の29%が高血圧を発症している。塩分過剰摂取は高血圧や心血管疾患の危険因子であり、摂取を減らすことは血圧低下につながる。Dietary Guidelines for Americansの2015~2020年版では14歳以上における1日の食事の塩分摂取量の上限を2,300mg/日、2~13歳ではそれ未満に推奨している(2~3歳:1,500mg/日、4~8歳:1,900mg/日、9~13歳:2,200mg/日)。CDCは2009~2012年のNational Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)のデータを用いて2歳以上の14,728名を対象に塩分の過剰摂取について分析を行った。その結果、19歳以上では89%が過剰摂取であり、男女別では男性:98.4%、女性:79.9%、人種別では白人:89.8%、黒人:84.6%と有意差を認めた。2~18歳では2~3歳:93.5%、4~8歳:92.2%、9~13歳:93.7%、14~18歳:92.8%が過剰摂取であった。塩分過剰摂取例はカロリー摂取量あたりの塩分摂取量が大きく、19歳以上では1日平均塩分摂取量:3,552±32.2mg/日、平均カロリー摂取量:2,114±20.2kcal/日、1,000kcalあたりの平均塩分量は1,727±9.9mgであり、2~3歳:1,466±22.5mg/1,000kcal、4~8歳:1,555±23.1mg/1,000kcal、9~13歳:1,657±20.8mg/1,000kcal、14~18歳:1,722±36.0mg/1,000kcalであった。また、高血圧を呈する成人(収縮期血圧:140mmHg以上、拡張期血圧:90mmHg以上)では86%が塩分過剰摂取であり、前高血圧症(収縮期血圧:120~139mmHg、拡張期血圧:80~89mmHg)の91%、血圧正常者(収縮期血圧:120mmHg未満、拡張期血圧: 80mmHg未満)の90%に比べ有意に低かった。以上、アメリカでは塩分の過剰摂取が蔓延しており、食品の製造過程やレストランでの塩分制限など幅広い層での減塩対策が必要と考える。
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