一般財団法人 国際医学情報センター 信頼できる医学・薬学・医療情報を適切に提供することによって健康社会に貢献します。

一般財団法人 国際医学情報センター

IMICライブラリ IMIC Library

ホームIMICライブラリMMWR抄訳2015年(Vol.64)ポリオ撲滅への進歩 ― 全世界、2014~2015・・・

MMWR抄訳

rss

2015/05/22Vol. 64 / No. 19

MMWR64(19):527-531
Progress Toward Polio Eradication — Worldwide, 2014–2015

ポリオ撲滅への進歩 ― 全世界、2014~2015年

2014~2015年におけるポリオ撲滅に向けての世界的状況について報告する。2013年の1歳未満の乳児における経口ポリオウイルス(OPV)3回接種率は、WHOの地域別では西太平洋地域:97%、ヨーロッパ地域:96%、アメリカ地域:90%、東地中海地域:82%、アフリカ地域:77%、東南アジア地域:76%であり、野生型ポリオウイルス(WPV)伝播を認めるアフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンではそれぞれ90%、67%、66%であった。2014年、OPVの追加予防接種活動(SIA)は45カ国にて341回実施され、約23億回の接種が行われた。急性弛緩性麻痺(AFP)サーベイランスを通じて報告された15歳未満のWPVによるポリオ症例は359例であり、306例(85%)はパキスタン、28例(6%)がアフガニスタン、6例(2%)がナイジェリアの症例であり、19例(5%)はポリオフリーの国々へのウイルス輸入によるアウトブレイクでの症例であった(赤道ギニア、カメルーン、ソマリア、エチオピア、イラク、シリア)。2015年は5月5日の時点で計23例(パキスタン:22例、アフガニスタン:1例)報告されている。ナイジェリアでは2014年、WPV症例が6例(2013年:53例)報告されたが、2014年7月以降の報告例はない。2型循環ワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV2)による症例は2013年:4例から2014年:30例に増加していた。アフガニスタンではWPV症例が2014年28例報告され、2013年の14例から倍増していた。2014年の症例は46%がカンダハル州の症例であり、他の症例はパキスタンの連邦直轄部族地域(FATA)に隣接する州からの報告例であった。また、4例を除きパキスタンからの輸入ウイルスによる症例であり、cVDPVによる症例は2013年以降報告されていない。パキスタンでは2014年にWPV症例が44地域から306例報告され、地域数、症例数それぞれ前年比230%、91%の増加であった。2015年は1月1日~3月30日にて22例報告されている(2014年同時期59例)。cVDPVによる症例は2013年:48例、2014年:21例と減少している。パキスタンではポリオ関係者への暴力の脅威から、カラチ、ペシャワール、FATAを含む地域でのSIAが実施されていない状況が続き、FATAの一部(北ワジリスタン)では接種活動が禁止されており、2014年のWPV症例のうち56%はワクチン未接種例であった。2014年6月、パキスタン軍による安全地帯への住民の移動の際、年齢を問わず、小児55万人を対象にワクチンを接種するため、移動ルートに接種会場が設置された。ポリオフリーの国々でのWPV症例は2014年、6カ国にて19例報告され、2013年の256例から93%減少していた。今後、パキスタン北西部のFATA地域やカラチ周辺でのWPV伝播阻止のため、SIAの実施が急務であると思われる。

References

  • World Health Organization. Poliomyelitis: intensification of the global eradication initiative. Geneva, Switzerland: World Health Organization; 2012.
  • Kew OM, Cochi SL, Jafari HS, et al. Possible eradication of wild poliovirus type 3—worldwide, 2012. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2014;63:1031–3.
  • Diop OM, Burns CC, Wassilak SG, Kew OM. Update on vaccine-derived polioviruses— worldwide, July 2012-–December 2013. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2014;63:242–8.
  • World Health Organization. Statement on the 4th IHR Emergency Committee meeting regarding the international spread of wild poliovirus. Geneva, Switzerland: World Health Organization; 2015. Available at <http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2015/polio-27-february-2015/en/>.
  • Moturi EK, Porter KA, Wassilak SGF, et al. Progress toward polio eradication—worldwide, 2013–2014. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2014;63:468–72.
  • World Health Organization. Global Polio Eradication Initiative. Polio this week as of 5 May 2015. Geneva, Switzerland: World Health Organization; 2015. Available at <http://www.polioeradication.org/Dataandmonitoring/Poliothisweek.aspx>.
  • World Health Organization. WHO vaccine-preventable diseases: monitoring system 2014 global summary. Geneva, Switzerland: World Health Organization; 2015. Available at <http://apps.who.int/immunization_monitoring/globalsummary/timeseries/tscoveragepol3.html>.
  • Porter KA, Diop OM, Burns CC, Tangermann RH, Wassilak SGF. Tracking progress toward polio eradication—worldwide, 2013–2014. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2015;64:415–20.
  • Etsano A, Gunnala R, Shuaib F, et al. Progress toward poliomyelitis eradication—Nigeria, January 2013–September 2014. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2014;63:1059–63.
  • Farag NH, Alexander J, Hadler S, et al. Progress toward poliomyelitis eradication—Afghanistan and Pakistan, January 2013–August 2014. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2014;63:973–7.

ページトップへ

一般財団法人 国際医学情報センター

〒160-0016 
東京都新宿区信濃町35番地 信濃町煉瓦館
TEL:03-5361-7080 (総務課)

WEBからのお問い合わせ

財団や各種サービスについてのお問い合わせ、お見積もりのご依頼、
サービスへのお申し込みはこちらをご覧ください。

お問い合わせ