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ホームIMICライブラリMMWR抄訳2013年(Vol.62)ヒト狂犬病 ― サウスカロライナ州、2011年

MMWR抄訳

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2013/08/16Vol. 62 / No. 32

MMWR62(32):642-644
Human Rabies — South Carolina, 2011

ヒト狂犬病 ― サウスカロライナ州、2011年

2011年12月3日に、サウスカロライナ州の46歳の女性が、6時間継続する間欠的な息切れ、発汗、悪寒のため救急診療部を受診した。受診前に消失したが、両手にピリピリした感覚も生じていた。2001年に重症の心疾患に対し冠動脈バイパス術を施行した既往があり、動物に噛まれたという申告はなかった。見当識は正常で、心拍数:94/分、血圧:216/105mmHg、呼吸数:20回/分であった。血液ガスは軽度の呼吸性アルカローシスを示したが、完全血球算定、血清生化学検査値、頭部および胸部CT検査所見に異常はなかった。5時間後に心臓専門医による検査のために転院したが、転院から12時間以内に呼吸停止になったため、挿管が行われた。数日後、黄紋筋融解、自律神経系の不安定、多臓器不全の兆候を示し、昇圧剤による血圧維持および血液透析が実施された。家族との面談によると、患者は前年の夏に家の中でコウモリを複数回、目撃しており、8月には寝室に入り込んだコウモリを外に追い出したが、直接の接触はないと考えられた。また、地域の行政サービスからコウモリのコロニー除去に関する情報を探したが、コウモリが住宅に住み着くことによる狂犬病リスクの可能性に関する情報は提供されず、相談のための公衆衛生当局担当者も紹介されなかった。12月12日に患者検体をCDCに送付し、狂犬病ウィルスの診断的評価を実施した。狂犬病ウィルス抗原が項部皮膚生検検体より、ウィルスRNAは項部皮膚および唾液検体より検出された。ウィルスRNAのシーケンス分析では、メキシコオヒキコウモリ(Tadarida brasiliensis)に関連する狂犬病ウィルス変種と適合した。検査結果は、South Carolina Department of Health and Environmental Control(SCDHEC)および病院に報告された。患者は12月19日に死亡し、剖検では、鉤ヘルニアを伴う脳浮腫、肺水腫、右肺の気管支肺炎、肝うっ血を認め、狂犬病ウィルス抗原は、脳、唾液腺、横隔神経、心臓、肝臓、腎臓、副腎から検出された。SCDHECは患者と接触した関係者のウィルス曝露リスクを評価し、Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)の勧告に基づいて、患者の唾液、脳脊髄液、神経組織に経皮的または粘膜曝露の可能性がある人に暴露後予防(PEP)を推奨した。接触の可能性があった188例のうち、医療スタッフ18例および患者家族4例を含む22例にPEPが推奨され、全例でワクチンの連続接種を完遂した。獣医公衆衛生当局は、狂犬病ウィルス曝露の可能性があるため、患者の家の犬2頭を隔離した。2頭とも最近の狂犬病ワクチン接種記録があり、追加抗原投与を行い、45日後の観察期間終了時に健康であった。2012年2月に患者の住居を調査した結果、屋根裏や戸棚の隙間、寝室に近い場所に糞便や汚れ等のコウモリが住み着いた形跡、屋根の垂木に出入りした形跡が観察されたが、調査期間中にコウモリはいなかった。2012年の春に、有害生物防除業者によりコウモリを排除し、アクセスポイントを塞いだ。狂犬病のリスクについて、標準的な照会プロセスを確立するために、地域の公衆衛生当局と野生動物の公的調査の結果を受け取る非医療関連部門が連携すべきであり、定期的な訓練が望まれる。また、原因不明あるいは動物への接触の可能性が報告された進行性脳障害患者が入院した場合は、狂犬病を考慮することが、医療スタッフに対する感染制御のために重要である。

References

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